Q P4の値が低く、排卵日の 設定に不安がある

小原 満雄 先生 群馬大学医学部大学院修了。群馬大学医学部付属病院産婦人科、 小海赤十字病院、県立がんセンター、横田産婦人科医院を経て、 1998年7月から神岡産婦人科医院に勤務。
みもーさん(31歳)からの相談 Q.無精子症で顕微授精し、現在2人目を治療中。自然周期で 5日目胚盤胞の移植待ちです。排卵日を特定するため、排 卵期である10日目の15時ころ、卵胞チェックで受診し たところ(生理周期は24日)エコーでは排卵済みでした。 子宮内膜は10mmありましたが、 P4 値は0.4ng/mLでした。 翌日は休診日でしたので、12日目に再度、血液検査とエ コーをしたところ内膜は12mm、P4 は1.87ng/mLでした。 エコーで排卵済みは間違いないので排卵日を10日目に設 定してよいとのことでしたが、インターネットでP4 の0.4 ng/mLは排卵前の数値という情報を得ました。エコーでは 排卵済みでもP4 の値が低ければ、数値の上がっている翌 日を起算日としたほうがよいのではないでしょうか。

P4とはどのようなホルモンでしょうか。

また基準値についても教えてください。
小原先生  P4 というのは排卵後の卵胞からできた黄体より分泌されるプロゲステロンというホルモンで、子宮内膜に作用し、着床の準備や妊娠の維持に不可欠な存在です。月経周期で基準値は異なり排卵前は 0.5ng/ml ぐらいしかありませんが、一般的に 1.0ng/ml を超えると排卵していると考 えられます。

みもーさんはエコーの診断と P 4の数値の 違いに不安になられていますが。

小原先生 この方はエコーで排卵済みだといわれて、その値が 0.4ng/ml や 0.6ng/ml だっ たようですが、もしかしたらそれは排卵直 後で P4 の数値の上昇にずれがあったのではないでしょうか。排卵すると 1 ~ 2 日で P4 の数値は上がってきます。排卵は瞬間的ではなく、徐々に卵胞が破れて卵が出てくるので、そういう状態の時は 0.5 ~ 1.0ng/ml までの中間の値を示すことがあります。 エコーによって排卵済みの診断があるならば、それは確実に排卵していると考えられ ますが、排卵直後だったために P4 の数値が上がっていなかったのかもしれません。 どうしても P4 の数値が不安であれば、た とえば 10 日目だけでなく、その 2 日前ぐら いから超音波と採血をして、連日 3 日ぐらい病院に通い、数値をみてもらってはいかがでしょう。

移植は 1 日ずれるだけで着床の確率は変わ りますか。

小原先生 私の経験上ですが、受精卵の能力で半日ぐらいの時間差はカバーできると思います。患者さんによっては仕事の都合で午 前中や夕方での指定がありますが、これまでは着床率に差がないように思われます。その 日の朝から夕方までの半日であれば許容範囲だと思いますが、 24 時間ずれるとなると 5 日 目の受精卵を 6 日目に戻すことになるので、 受精卵の状態を考えるとあまりおすすめはできません。

先生は排卵のタイミングをどのように決め ていますか。

小原先生 卵胞はだいたい 18mm以降になる と自然周期で排卵すると予想されるので、当院では予測した前日か前々日ぐらいから自宅で採尿していただきます。朝、午後 3 時、就 寝前、翌朝の 4 回ほどこまめに採尿していただき、排卵を引き起こす黄体形成ホルモンが放出される LH サージがどの段階でプラスになっているかを確認します。たとえば朝 7時の尿にプラスが出ていれば、そこから 24 時 間から 36 時間には排卵しているだろうとい ことで、その日を排卵日と決めています。

子宮内膜が着床できる期間「着床の窓」は 特定できないのでしょうか。

小原先生 現在では ERAⓇ(子宮内膜着床能)検査というのがあり、子宮内膜を採取して遺伝子レベルで「着床の窓」を調べる方法があります。費用がやや高額ですが、着床の不成功が反復するようであれば、選択肢の一つとして考えてみてもよいかもしれません。

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