【Q&A】転院について~山口先生【医師監修】

ばんびさん(35 歳)
ダイエットで過度に痩せてしまったため生理が来なくなり不妊治療を開始しました。現在は標準体重まで戻しています。
治療について、人工授精6回、体外受精5回(うち顕微授精1回)実施しました。トリオ検査も実施し、結果を以って4回5回の移植を実施しましたが一度も着床に至っていません。尚、体外受精2回目からは2個胚移植しています。治療の中では卵胞が育たず採卵ができないこともしばしばありました。
また、出産歴があり、当時(30歳)は人工授精1回目で妊娠に至りました。その時すでに排卵がなかったため、ゴナールエフにて誘発していました。
出産経験があるにもかかわらず、一度も着床すらしておらず、主治医は現状できる対策は全て行なったとのことですので、転院すべきでしょうか?
今のクリニックは保育園と自宅の近くで通いやすく、医師との関係も良好で、1人目の妊娠実績もあり、現在結果が出ていないことを除いては不満は全くないため、原因が卵胞の質や年齢問題だけであれば通い続けたいと思っています。
ですが、他院では他の薬を使ったり、他にできる検査があったり、他の見解があるかもしれないと思うと、転院すべきなのかなと悩んでいます。
尚、保険適用内、先進医療内での治療のみを考えており、のこり2回しか移植ができないため、慎重になっています。
【医師監修】山口貴史 先生 高崎ARTクリニック
順天堂大学医学部卒業。「色々な想いを胸にご来院された患者さんの想いとその大切にされてきた希望や決意に向き合い、ご夫婦に寄り添った治療を行うこと」この想いを大事に日々、診療に従事。日本生殖医学会生殖医療専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
●TRIO検査を行うと、子宮内膜側の着床不全因子は消せるのでしょうか?また着床不全の検査として子宮内膜側にできる検査などはありますか?
着床不全の要因として、まず胚因子を考えます。
胚のグレードや分割期胚・胚盤胞などの状況がわかりませんので詳細はわかりませんが、4〜5回の移植回数と胚数8〜9個の移植胚数を考慮しますと、反復着床不全の精査はするべきです。
まずは、子宮内環境をみる検査として、子宮鏡検査や子宮内膜炎や細菌叢解析と血液凝固異常の有無をすすめます。
また、免疫異常の関与について、Th1/Th2の検査もすすめると良いと思います。
●良好胚盤胞を繰り返し移植しても結果が出ない場合、先生はどのような検査や治療を勧められますか?
上記のように、胚因子を精査し、良好胚を作るように排卵誘発法などの検討をしていきます。
子宮内環境を子宮鏡検査や子宮内膜組織診でCD138陽性細胞の確認、子宮内培養を施行し、同時に凝固異常の精査もすすめます。
その後結果次第では、胚因子の精査としてPGT-Aで受精卵の染色体の異数性の確認を行うことが重要だと思います。
また同時に、ERAで着床の窓のズレを確認することも検討します。
●着床不全に対する検査・治療が他施設で行える場合、転院を検討されるのもいいかと思われますか?
着床不全に対する考え方は、病院により異なることもあるため、主治医の先生とよくご相談いただき、転院やセカンドオピニオンを視野に入れてみることも検討してみてください。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。