原因がわからず、苦しんでいます

胚盤胞のグレードは良好 でも、着床しません。

ほかの方法も検討すべき?

柏崎 祐士 先生 京都府立医科大学医学部卒業。2000年まで日本大学板橋病院で主 に不妊治療に従事し、その間、米国エール大学医学部産婦人科で 研修。その後、「かしわざき産婦人科」副院長に。日本生殖医学会 生殖医療専門医、日本婦人科内視鏡認定医。O型・おとめ座。「妻 の大学生時代の写真を見て、娘が『一緒に写っているこの人カッ コいい! この人と結婚していれば、私はもっと美人だったかも』 と。半分は私の遺伝子なのに…複雑な心境です(笑)」
えりんさん(35歳)からの相談 Q.結婚6年目、不妊治療歴は3年。ずっと同じクリニックに通っています。今まで 夫婦ともに受けられる検査のほとんどを受けましたが、AMH値が少し低いほか はすべて正常とのこと。人工授精6回を経て顕微授精にステップアップしてから は、ロング法で11個を採卵し、体外2個と顕微5個で7個を凍結しました。3 回目までどれも結果は陰性で、4回目の移植では内膜吸引して薬で内膜をつく り、SEET法を施したうえで胚盤胞と桑実胚の2個を戻しましたが、やはり陰性 に終わりました。内膜や卵子の状態も良好だそうですが、これまで一度も妊娠 の兆候がなく、何が原因なのかがわからなくて苦しい毎日です。担当医には質 問しづらい雰囲気で、質問しても納得のいく答えを得られそうにないので、何 かアドバイスをいただけたら嬉しいです。

原因不明の不妊治療

えりんさんから頂戴した質問シートには、検査結果の詳細や投薬名なども詳しい記載が ありました。目を通されてどのようなことが 問題点と思われますか。
柏崎先生 見る限り問題点は何もなく、投薬 も含めてやるべきことはきちんとなさってい るようですし、治療法も極めてスタンダード で申し分ありません。
AMH値もご年齢にし ては少し低いかな、という程度ですが心配す るほどでもないでしょう。
何が原因なのかが わからない、典型的な「原因不明の不妊」と されるタイプです。
疑われるのは「着床障害」 ですが、これも原因不明の不妊においては便 利な言葉で、つまりは現状の生殖医学では明 確な解決法を見出せないということ。
日本で はまだ認められていませんが、 2 、 3 年後に は導入されるのではないかと示唆されている 「着床前診断」が可能になれば、卵子のDNA を調べるなどして、ある程度の改善は見込め るようになるかもしれません。

夫婦仲について

今後どうするべきか、具体的なアドバイスをお願いします。
柏崎先生 「不妊の原因がわからず、苦しい 毎日」という言葉が気になります。
かなりの ストレスがかかっているのではないでしょう か。
身体的には特に問題はないと思われるの で、低刺激や自然周期に戻して“数より質” の採卵にされてもいいかとも思います。
また、年齢的にもまだお若くて余裕があ るので、思い切って治療をお休みし、通院 や治療のストレスからしばらく解放されて もいいかと思います。
不妊治療、特に顕微授精の段階にまでなると、ご夫婦がセックスレスになりがち。
ちょっと休んで、ご夫婦でご旅行でもし、リラックスしたら自然 妊娠したといったケースも実は少なくない のです。
あくまでも、妊娠の原点は夫婦間 の性交渉にありますから、どうか治療だけ に頼らず、ご夫婦で積極的に仲良くなさっていただきたいと思います。

医師との信頼関係

通院されているクリニックには、「質問しづらい」という不満も。
柏崎先生 不妊治療に限らず、医師への質問 に遠慮は不必要ですから、ささいなことでも 担当医に投げかけてください。
「忙しそう」「、ほ かに多くの患者さんが待っていらっしゃるし」 などと忖度なさらずに、聞きたいことはあり のままにドクターに聞いてください。
もし、それでも納得のいかない対応をされ ることがあったら、転院も視野に入れてよい かと思います。
不妊治療は、患者さんとドク ターとの二人三脚のようなものですから、足 並みが揃わないとうまくはいかないのです。
お互いの信頼関係を築けるかどうかが、不妊 治療の第一歩だとも思います。ご自分も勉強 し、「ギフト法」などを提案してみては?
「このクリニックなら、安心してすべてを委 ねられる」と思って通うのと、「評判はいいら しいけれど、何となく私には合わない」と不 信感を持って通うのでは、明らかに違いが生 じると私は思います。
不妊治療はストレスに 左右されやすいので、治療そのものがストレ スになっては本末転倒。
安心して通えるクリ ニック、心身ともに委ねられる信頼できる医 師のもとで、ぜひ治療を続けてください。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。