自然周期しか無理

2人目、低刺激とアンタ ゴニスト法で卵子が採れず。

自然周期しか方法がない?

2人目のお子さんを妊活中のききさん。

低刺激とアンタゴニ スト法で採卵するも未成熟卵でした。

自然周期で回数を重ねる しか方法がないのか、吉田先生に伺いました。

吉田 仁秋 先生 獨協医科大学卒業。東北大学医学部産婦人科学教室入 局、不妊・体外受精チーム研究室へ。米国マイアミ大 学留学後、竹田総合病院産婦人科部長、東北公済病院 医長を経て、吉田レディースクリニック開設。最先端 医療を用いた不妊治療専門施設ARTセンターが手ぜま になったことから、2015年中に仙台駅前に移転予定 だとか。ヨガやフィットネス、レーザー治療など統合 医療をめざすそうです。山形や岩手など東北エリアか ら来る患者さんも便利になりそうです。

ドクターアドバイス

●採卵の時期はコンディションを万全に
●高年齢ほど薬が効きにくく排卵日がずれる
●2人目の不妊も過信せず早めに治療を
ききさん(43歳)からの相談 Q.2人目の不妊治療歴1年半。初めて体外受精を体験。低刺激法 とアンタゴニスト法で誘発しましたが、卵子は1つしか採れず 未成熟卵。受精もできませんでした。医師からは「アンタゴニ スト法があわなかったかもしれない。ほかの誘発も無理かもし れない。あとは、自然周期で回数を重ねるしかない」と言われ ました。また、「自然周期だと採卵できる確率は50%、それが いい卵子かどうかもわからない」とのこと。本当に自然周期し か方法はないのでしょうか? 卵子や子宮の老化を考えるとの んびりしていられません。転院をして相談してみるか、とても 悩んでいます。アドバイスをお願いします。

●これまでの治療データ

検査・ 治療歴

治療歴1年半。
AMHは0.16ng/ml未満。
タイミング法6回、 人工授精7回、体外受精1回。

現在の 治療方針

体外受精、生理日3日目よりクロミフェン、7日目以降 HMGを150、300単位。
15日目からアンタゴニスト(セ トロタイドⓇ)追加、17日目にHCG5000追加、19日目 に採卵するも未成熟卵。

不妊の原因と なる病名

聞いていない

精子 データ

精子量1.7ml、運動率3.9%、運動性C

AMHが低値だと

ききさんは、初めて体外受精を受けて、薬 と注射で排卵を誘発しましたが、卵子は 1 個 しか採れず、未成熟卵でした。血液中のAM Hの値は0・ 16 ng/ ml 未満です。
吉田先生 43 歳というご年齢を考えても、 AMHはかなり低い数値ですね。
AMHは、 卵巣の予備能をみる指標で、年齢によって 基準値が異なります。
31 歳以下は 6.2 ng / ml 、38 から 39 歳では 2.0 ng / ml 前後、 40 歳半ばでは1.0 ~ 1.6 ng / ml 未満ほどです。
ききさんのよう に0・ 16 ng / ml だと、卵巣の予備能が落ち ていると考えられます。
AMHが低値だと、 採れる卵子の数は少なくなってしまうケー スが多いようです。

採卵時期のコンディション

ききさんの治療は、低刺激で300単位を 注入していました。医師から今後は自然周期 しかないと言われています。
吉田先生 年齢が高くなると厳しい状況には 変わりませんが、選択肢は自然周期だけとは 限りません。
採卵する方法は、アンタゴニス ト法や低刺激法もあります。
「自然周期だと 採卵できる確率は 50 %、良い卵子が育つ可能 性もわからない」とのことですが、私は自然 周期も含めてほかの方法でも、採卵の時期の コンディションしだいで良い卵子が採れると 思っています。
たとえば、コンディションを整えるために 栄養状態や運動、ストレス対策などを積極的 にすすめています。
当院では、ハーブティー を飲みながらリラックスした雰囲気で参加で きる治療セミナーをはじめ、臨床心理士によ る心理カウンセリング、またヨガサークルも 定期的に行っています。
普段使わない筋肉を 刺激することで、血液やリンパの流れが良く なり、冷え性にも効果が期待できます。
ヨガ はエクササイズとは違い、体力に自信がない 人も気軽に参加できると好評です。

低刺激は、排卵ありき

吉田先生のクリニックでは 40 歳以上の方が 受けられ、体外受精で良好な結果を多数出しておられますね。
吉田先生 ご年齢を考えると、採卵の回数を 多くしたい、という焦りが出てしまいがちで す。
回数を多くしても、良い卵子が採れるか どうかは不透明です。
できれば毎月採卵はせ ずに、2~3カ月は様子をみることをおすす めします。
当院では、その間にサプリメント を使って様子をみながら工夫しています。
たとえば、DHEAメラトニン、プラセ ンタのほか、コエンザイムQ 10 、葉酸など抗 酸化作用のあるサプリメントを組み合わせて います。
2~3カ月飲んでもらい、効果があるかどうか見ながら、一人ひとり細かく治療 を進めています。
自然周期では毎月採卵ができ、刺激によ る薬の負担は軽くなりますが、回数が多く なると卵子が採れなくなる可能性もありま す。
採れる確率は上がっても、良い卵子が 育つかは未知数です。
そして、自然周期の 難しいところは、その人にきちんと排卵が あることが前提です。
卵子がちゃんと採れ ればいいのですが、試してみないと育つか どうかわかりません。
当院では、自然周期から2~3カ月あいだをおいて低刺激周期を 1 回か 2 回行いま す。
何回も続けては行いません。
というのも、 卵胞や受精後の発育を抑制したり、子宮内 膜に悪影響をおよぼすという報告があるか らです。
ただし、刺激周期による反応が遅いケース では、LHサージが上がってしまい排卵が先 に来てしまうと困るため、うまく排卵のタイ ミングを合わせる必要があります。
その結果、 卵胞のチェックのため何回か来院してもらう ことになります。
ご自分で生理の後の何日目 で排卵になるかわかればいいのですが、なか なかそうはいきません。
バラバラとなるケー スがほとんどです。

加齢で、排卵は後ろにずれる

排卵日は、薬などで刺激をしても高齢にな ると遅くなるのでしょうか?
吉田先生 多くのケースで年齢が重なると 排卵は後ろにずれる傾向にあります。
ききさんは、注射の量はHMGが300 単位、また 15 日目から 16 日目、そして 17 日 目にもセトロタイドⓇを使用されています。
このことから、刺激に対するレスポンス反 応が遅くなっていることが考えられます。
排卵は、通常、生理周期が 28 日の場合は、13 日か 14 日となりますが、ききさんは 19 日 に採卵されていますね。

男性不妊も視野に

ききさんは、転院も視野に入れるか迷われ ています。
吉田先生 厳しい症例には間違いありませ んが、紹介状を書いていただき、セカンド オピニオンとして他の医師の意見を聞く方 法もあります。
最終的には、ご自分で納得 した治療法がベストだと思っています。
近年、1人目のお子さんができたから2 人目も妊娠は大丈夫、と思われている方が 目立ってきています。
ということは、妊娠 する年齢は 30 代後半から 40 歳以上となりま す。
自分では気づかないうちに不妊となる ケースも年々増えてきました。
早めに検査 や治療を開始することをおすすめします。
ききさんのご相談で、気がかりなことが 一点あります。
ご主人の精子の検査データ です。
WHO(世界保健機構)の規定では、 精子の運動率は 40 %以上が正常とされてい ます。
ところが、ききさんのパートナーは3.9 %とかなり低い数値になっています。
できれば再検査をして、また低いようでした らご主人の治療も必要かもしれません。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。