プロゲストン®を服用しても月経が早く来てしまいます。薬が効いていない?

宮崎 和典 先生 大阪医科大学医学部卒業。学生時代の新生児医療への興味がきっかけ となり、体外受精や不妊治療の世界を志す。同大学産科婦人科講師を経 て、1992年に不妊症、不育症治療専門クリニック、宮崎レディースクリニッ ク開業。開業当初より泌尿器科の専門医による男性不妊外来を開設す る。A型・しし座。若い頃は65歳でリタイアしようと考えていたそうですが、最 近は「70歳くらいまでは頑張れそう」と気持ちに変化が。60歳を過ぎて、な お好奇心旺盛で若々しい先生です!
ツルさん(32歳)からの相談 Q.黄体機能不全で高温期が10日と短いため、タイミング療法で、プロゲストン®を排卵後か ら朝昼晩2錠ずつ14日間という処方で服用していますが、いつも飲み終わることなく月 経が来てしまいます。普段は28日周期で、排卵は17日目あたり、11日くらい高温期が あります。プロゲストン®を服用すると、その間は月経が来ないか少し遅れたりするもの だと思うのですが、今までと変わりなく月経が来るということは、効いていないのでしょう か。もし効いてないとすると、ほかにどういう治療法があるでしょうか。 高プロラクチン血症のためカバサール®も服用、次は人工授精を予定しています。

プロゲストロンと高温期

ツルさんの言うように、薬が効いていないのでしょうか?
宮崎先生 プロゲストン ® 単独の使用では、いわゆる高温期を持続させることは無理です。
「 14 日間服用している」とありますが、たいていの人は 14 日を待たずに月経が来てしまうでしょうね。
14 日より多少短くても普通だと思います。
 ただ、一般不妊治療の場合、排卵 して1週間くらいで着床するわけだから、これまでにきちんと手当てしていれば特にそれで問題はないのではと思います。
あまり早く来てしまったら、それは黄体機能不全として、当然、治療が必要だと思いますけれど。
当院でしたら、HCGの注射をしたり、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が一緒になった配合剤を処方しますね。

黄体機能不全の改善

ツルさんは黄体機能不全と高プロラクチン血症と診断されています。
宮崎先生 黄体機能不全を改善するには、クロミフェン HCG療法を行うことが一般的です。
ただしクロミフェンを連用していると、頸管粘液が減り、ヒューナーテストの結果が不良になってくると思います。
そこで受精を助けるための人工授精が必要になる場合があります。
クロミフェン療法は、エストロゲン の分泌量が減ったと脳に錯覚させて間脳・下垂体を働かせ、FSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を促すメカニズムです。
たとえば、最初に薬に対する反応がいい場合は、頸管粘液が増えたり子宮内膜が厚くなるケースが結構あります。
しかし2~3回続けると、逆転してどんどん反応が悪くなる。
人によって大きく個人差がありま すから、一概には言えないのですが、私は3~4周期で試みて結果が出なかったら、ヒューナーテストのデータを見ながら、クロミフェンをやめてほかの方法にするか、あるいはクロミフェンを使ったまま人工授精へ移行するか、どちらかの方法を取ると思います。

HCGによる治療が良い

プロゲストン ® による治療で結果が出ない場合、ほかに治療法はありますか。
宮崎先生 やはりHCGが一番いいと思います。
HCGが黄体ホルモンを分泌させるわけですし、一般不妊治療には最も効果があるでしょう。
1~2日おきくらいに3回、着床するまで投与したら、それ以上は必要ありません。
ツルさんはまだ若いし、AMHも 21 ・9 pM / L と悪くないのですが、クロミフェンで結果が出なければ、やはり人工授精も必要かなと思います。
ただ、2年間同じ治療というのは どうでしょう。
頸管粘液の状態がよくて、精液検査の結果にも問題がなければ、当院では、3カ月目くらいからHCGを使い始めて、半年後には人工授精を提案、1年後には体外受精も視野に入れていただく形で進めますね。
※ プロゲストン®:黄体ホルモン製剤の一つ。
※HCG:成熟した卵胞を排卵させたり、黄体機能を維持・活性化させる、胎盤性性腺刺激ホルモン製剤。排卵誘発に用いられる。
※ヒューナーテスト:性交後、子宮頸管粘 液を採取して、精子と頸管粘液の相性を調べる検査。採取した粘液中の運動精子数など、精子の状態を顕微鏡で調べる。
※FSH:脳下垂体から産生・分泌される卵胞刺激ホルモン。卵巣に作用して卵胞の形成・発育を促す。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。