妊活を始めたばかりで稽留流産を経験し、その後なかなか妊娠できずに夫婦生活にも不安が。クリニックデビューにもまだ迷い中のまろんさん。流産が不妊や体の変化に影響しているのか、ソフィアレディースクリニック水道町の岩政 仁先生に教えていただきました。

 

岩政 仁 先生(ソフィアレディースクリニック水道町)熊本県出身。1984年熊本大学医学部卒業後、1990年同大学院博士課程修了、医学博士取得。大学院での排卵にかかわる研究で日本産科婦人科学会学術奨励賞受賞。1996年に熊本で初めて顕微授精胚移植による妊娠に成功。2007年に「ソフィアレディースクリニック水道町」開業。「人の喜ぶ顔が見たい」がモットー。

まろんさん(32歳)妊活をスタートしてすぐに妊娠反応がありましたが8w6dで稽留流産し、吸引手術をしました。妊活再開後、濡れにくくなっていて挿入が難しいため、途中まではコンドームを使用していましたが、精子の動きを悪くする可能性があると知り、今周期から妊活ゼリーを使用。流産後は妊娠しやすい、8割以上が1年以内に妊娠すると聞きますが、あっという間に半年が過ぎました。コンドームが原因になっているのか、関係ないなら体に原因があるのか、不安です。クリニックデビューするにしても選び方がわからず、検査も怖いです。

 

“流産後に妊娠しやすくなる”ということではない

一般的に、不妊症の原因が特になければ月に20〜30%の割合で妊娠すると言われています。ですから、“流産後に妊娠しやすくなる”のではなく、単純に“原因がなくてタイミングも取れていれば1年以内に妊娠する可能性が高い”ということです。

流産と不妊の関連ですが、子宮内の妊娠産物を取り出す流産手術(掻爬)が子宮内膜に影響を与え、その後、内膜がちゃんと育たなくなる可能性はごくわずかとは言え、ゼロではありません。万が一掻爬時に細菌に感染すれば、卵管機能が低下することもあります。流産そのものが不妊原因になるわけではなく、術後の状態によっては妊娠しづらくなることもある、ということです。また、今回は妊娠まで進んだけれど、そもそも不妊原因があったけど、たまたま幸運にも妊娠でき、その後は妊娠まで進めない、ということも考えられます。「1回妊娠したから大丈夫」ではなく、1年経っても妊娠できなければ、原因について考えてみましょう。

 

流産に対する正しい知識を得て、自分を責めないで

「濡れにくくなった」原因は、流産後にホルモンバランスが大きく変化したのではなく、「流産してしまった」という精神的な落ち込みからくるものではないでしょうか。流産の主な原因は染色体異常で赤ちゃんが育ってくれないことにあるのですが、どうしても女性は「育ててあげられなかった」と自分を責めてしまうことも多いようです。どんなに頑張っても、一定の割合で流産は起こります。流産の頻度は結構高く、1回でも妊娠したことがある方の40%は1回以上の流産を経験するといわれています。流産に対する正しい知識を得て、自分自身を責めずに、ご夫婦で前に向って進めると良いかと思います。

まずは、無理なく通えるクリニックへ

クリニックデビューをまだ悩んでいるようですが、子宮や卵管の状態などは診察しないとわからないことですし、ゆっくりと話を聞いてくれるカウンセラーがいる場合も多いので、少しでも心配を解消するためにもそろそろ受診を考えてみてはいかがでしょう。いきなり体外受精など高度な治療ができる病院を選ぶ必要はないので、まずは不妊症の検査がひと通りでき、近くて通いやすい距離にある病院に行ってみることをおすすめします。

コンドームは基本的に避妊用具ですから殺精子剤が含まれる商品もあると思いますが、今は精子に影響のない妊活ゼリーを使っておられるからよろしいかと思います。

 

まとめ

流産したり生理がくるたびに「大事なものを失くした」と、多くの女性が喪失感を抱いているように感じます。だからこそ、治療には夫婦で向き合い、お互い協力や共感し合うことが大切。「温度差がある」という声もよく聞きますが、タイミングをとる時期にはなるべく残業や飲み会を入れないようにするなど、男性もあまり難しく考えずにできそうなことから取り入れて、「子どもがほしい」という願いを夫婦2人でかなえていただきたいですね。

 

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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