【Q&A】凍結までいきません~出居先生

体外受精の結果が思わしくない時、卵子の質の話をされることがあります。

『卵子の質が悪い…』その時、出来ることはないのでしょうか?

出居先生にお答えいただきました。

栃木県出身。 自治医科大学産婦人科学教室に入局。 99年には不妊部門の主任となり、その翌年に上都賀総合病院の産婦人科病棟医長を歴任。 その後は各地で常勤・非常勤医師として活躍し、2004年に大宮レディスクリニックを開業。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ななげさん(32歳)

タイミング法から数えて不妊治療歴6年です。
1年ぶりに不妊治療を再開し、4度目の採卵を終えました。結果は今までと変わらず惨敗。
初めて中刺激で行いましたが前回の高刺激の時同様、1つも凍結できませんでした。
今まで採卵4回、凍結胚は合計初期胚2つ。着床したことはありません。
過去3回高刺激での採卵数は毎回10個前後。今回中刺激では3個でした。AMHは1.99。
年齢の割にAMHは低いですがそれ以外は特に問題はないと言われており、もうどうしたらよいのかわかりません。
卵巣予備能と卵子の質は比例しないと言いますが、私の場合は卵子の質も悪いようで、毎回「卵子の質が良くないね」と言われています。それを言われても卵子の質はお医者さんにもどうしようもないのは理解しています。32歳でどちらも悪いと言われてる私にはもう手立てはないのでしょうか。これから先もただ採卵を繰り返す以外、何もできることはないということなのでしょうか?
また先生に、「あなたのような人は珍しい。年齢と体の状態をみても、なんでこういう結果ばかりかわからない」と言われました。医者にわからないのに私にわかるわけがありません。だからといってこのまま諦めたくありません。転院するべきでしょうか。私みたいな人に対策をうってくれるクリニックはあるのでしょうか。

卵子の質を良くするには、2つの改善をしてください。

1)私たちが持っているメラトニンという最強の抗酸化物質や成長ホルモンの分泌を促す生活をする。
私たちの体は夜になると昼間使用した栄養吸収や運動の酵素タンパク質を細胞修復や細胞分裂をするための酵素タンパク質に作り替えています。そしてそれが完了する真夜中にメラトニンという最強の体内抗酸化物質を脳下垂体から分泌します。このメラトニンは活性酸素で染色体の配置が乱れているのを治して、複製された染色体がきれい2等分されるのをアシストします。

このことが上手くゆかないと、母細胞から分裂した娘細胞は分割できなくなったりして、発育卵胞の閉鎖が起こるのです。ですから、サーカディアンリズムに沿って21時-22時には寝て、しっかりと睡眠をとりましょう。

2)私たちのエネルギーはこの生物界を作ったミトコンドリアから95%作られるので、ミトコンドリアを活性化する食事を摂って下さい。
結論から言うと、3食とも玄米と野菜たっぷりの味噌汁と納豆とってくだされば、ミトコンドリアを活性化することができ、私たちの体のすべての細胞が若返ります。
逆に、食べてはいけない食べ物は、パンをはじめとする小麦粉、牛乳やヨーグルトに代表される乳製品、そして砂糖を使ったお菓子類です。YuTube などのネットで情報があふれていますから自分で検索して、調べてみてください。

( 20数億年前に原始細胞にミトコンドリアが入って、多細胞化が可能となり、現在の生物界を作っています。私たちは玄米などと同じ代謝系を持ち、それゆえにいろいろなものを食べても同じシステムなので、それを栄養として摂取できるのです。このシステムはTCAサイクルと呼ばれ、これを十分働かせる栄養を摂ればすべての有核細胞は若返ることができます。その代表の一つが玄米です。白米や小麦粉、乳製品の栄養は主にカロリーで、TCAサイクルをうまく回せない不完全な食べ物であることに記事てください。ビタミンをサプリで摂るにしても、ほとんどすべてが糖やタンパクなどがくっついた不活性なものです。 簡単には、玄米の栄養バランスはTCAサイクルをほぼ満点に近い物なので、玄米をたべてください。また主要なすべてのビタミンは主に大腸の腸内細菌が大量に作ってくれますので、野菜たっぷりの味噌汁を摂ってください。朝の味噌汁だけで精子の運動率が改善することからわかるように、麹菌の高い抗酸化能と栄養を増やしてくれる能力、エルゴチオネインという玄米が主に持つ最強の抗酸化物質で腸をきれいにして、血液をサラサラにしてください。 )

3)転院する前に一時不妊治療をお休みして、妊娠できる身体を作るようにお勧めします。具体的には血算、生化学検査、尿検査などの一般検査を受けて、 採血データをていねいに解析(分子整合栄養学)してもらい、不足の栄養をさらに薬やサプリで補充して早期の改善を目指してください。当院でもCLINICSでそのような方のための遠隔診療をしています。体質改善に要する時間は意外と短く、多くは3ヶ月ほどです。でも重症な方は6か月かかります。骨盤体操などの運動や鍼灸なども気分転換と体温と代謝をあげてくれるのでお勧めします。

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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