胚盤胞のグレードと妊娠率について教えてください【医師監修】

【医師監修】石原 尚徳 先生 高知医科大学卒業。神戸大学医学部大学院修了。兵庫県立成人 病センター、兵庫県立こども病院の勤務を経て、2008 年より久 保みずきレディースクリニック美賀多台診療所副院長。不妊治療 から周産期・小児医療まで、地域に根ざした総合的なサポート態 勢が整う同クリニックで、副院長として精力的に活動する。A 型・ さそり座。産科や小児科を併設し、入院施設、キッズルームなど、 設備が充実している同クリニック。今年は開業10 周年のため、秋 にはリニューアルし、設備がさらに充実するそう。
はなももさん(41歳)Q.右側の卵管閉塞があり、治療歴は4年。人工授精2回目で妊娠するも、昨年10 週で流産。今回、初めての体外受精で採卵しましたが、OHSSの可能性から全胚 凍結となりました。13個採卵し、顕微授精で5個、体外受精で5個受精。3日 目の初期胚 2 個を凍結、5日目の胚盤胞5個を凍結(グレードは4BB、3AA、 3BB、3CC、初期胚盤胞がそれぞれ1個ずつ)、6日目の胚盤胞2個(4AA、初 期胚盤胞)を凍結しました。どの順番で移植をしていくのがいいでしょうか? 6 日目の胚盤胞は、確率は5日目の半分になりますか? 胚盤胞の妊娠率は高いと いいますが、40代だと妊娠率は下がりますか?

複数の受精卵の移植順

はなももさんは、初めての体外受精で、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の可能性から全胚凍結となったそうですが、移植する胚の順番をどうするかというご相談です。
石原先生 はなももさんは 41 歳ということですが、 20 代の方と比べても遜色のない、とてもいい結果です。
排卵誘発は、クロミフェン、HMG製剤、セトロタイドⓇでの刺激とのことですから、マイルド法の分類に入ると思いますが、 13 個採卵できていて受精率もいいし、胚盤胞もすごくいいです。
あえて移植の順番を決めるとしたら、どのようになるのでしょうか?教えてください。
石原先生 胚盤胞のグレードを詳しく書いていらっしゃいますね。
この分類はあくまでも見た目の分類なのですが、見た目は質を結構反映しています。
ほとんどの施設では、移植するたびに費用がかかりますので、見た目のよいものから順番に戻し、少しでも早く妊娠してもらうということになるでしょう。
基本は胚盤胞のいいものからです。
4AAから3AA、4BBか3BB、という順番になるのではないでしょうか。
これだけあれば、妊娠のチャンスはかなりあると思います。

胚盤胞到達スピードと妊娠率

3CCについてはいかがでしょうか?
石原先生 当院の成績では、CC全体で妊娠率は 35 %、凍結胚であればほぼ 40 %、新鮮胚では 24 %です。
それと、5日目と6日目の胚盤胞の妊娠率の比較ですが、「可能性が半分」にはならないと思いますね。
ほとんど同じです。7日目の場合はちょっと厳しいと思いますが。

40代の妊娠率

40 代の妊娠率についてはいかがでしょうか?
石原先生 こちらも当院の成績で 40歳以上の方の妊娠率を見ますと、凍結しない新鮮な胚盤胞は 24 %、凍結胚盤胞は 29 %。
ですから、胚盤胞まで到達できる胚なら、 40 代でも妊娠率はそれほど悪くないということがわかります。

今の治療法は??

初めての体外受精で、年齢のことや以前の流産経験もあり、不安に感じていらっしゃるようです。アドバイスをお願いします。
石原先生 治療歴が4年くらいということですが、はなももさんのこれまでの経緯を拝見すると、単純に考えて、不妊の要因は卵管のピックアップ障害だったのではないかと思います。
1回で 10 個以上の卵子が採れているので、卵巣刺激の方法も、全胚凍結という選択も間違っていません。
おそらく培養室の技術も高いのでしょう。
これからは、いかにいいタイミングで、いい状態の胚を戻してあげるかということに集中して治療続けてください。
 41 歳という年齢から考えてもすごくいい状況なので、早く結果が出るといいですね。
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