染色体異常の場合、 フローラ検査や PGT-Aは有効?

相談者 :えむさん(42歳)
▶︎移植回数を増やす以外の選択肢について
AMH2.01ng/ml。採卵1 回目に10 個、2 回目に8 個採れ、顕微授精で凍結胚5 個です。1 回目の移植では1 個戻して陰性でhCG7.09mlU/ml、2 回目の移植で2 個戻し陰性でhCG1.27 mlU/ml でした。かかりつけ医は、移植した卵子のグレードは悪くないので染色体異常の可能性が高く、移植回数を増やすしかないとのこと。残りの凍結胚2 個で保険適用最後の移植になり、移植前に子宮内フローラ検査も予定。PGT-A はしていません。他にできることはありますか?
【医師監修】浅田レディースクリニック浅田 義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、岡崎、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

えむさんの場合、移植回数を増やす以外の選択肢はありますか?

浅田先生●基本的には着床前胚染色体異数性検査(PGT -A)を検討すべきだと思います。PGT -Aは、体外受精で得られた胚の染色体数の異常を調べる検査で、染色体の数の異常がない胚を選んで移植することで、無駄な胚移植を省いて妊娠・出産への成功率を高めることができます。年齢とともに妊娠率が低下する主な理由は、卵子の染色体異常が増えるためですが、染色体に異常のない正倍数性胚を移植できれば、年齢による妊娠率の低下はなく、42歳でも約6割の妊娠率が期待できます。当院でも、48歳6カ月の卵子から得られた胚のうち、1個の正倍数性胚を移植し、1回の移植で49歳で出産に至った例があります。

フローラ検査は必要でしょうか?

浅田先生●子宮内フローラ検査は、腟内や子宮内の細菌バランスを調べる検査です。細菌性腟炎を繰り返しているなどの背景がある場合には腟の健康の目安にはなりますが、不妊治療で成績を上げるエビデンスは確立されていません。
近年は、細菌のDNAをPCRで増幅して解析する技術により、体内の細菌状態をより詳しく推測できるようになりました。現在の細菌環境を知ることはできますが、子宮内膜は毎月新しく作られますので、妊娠の可否に直接つながるものではありません。

卵子のグレードを改善する方法はあるのでしょうか?

浅田先生●卵子は生まれる前に一度だけ作られ、その老化、傷み具合は卵子個々で違っています。同じ人から採れた卵子でも良し悪しがあり、成熟度が悪い卵子は、受精率や胚盤胞になる割合が低下します。半年かけて成熟する卵子を、卵巣刺激によっていかに成熟度の良い最良の状態で採るかが重要です。また、採卵後の受精や培養の工程でも、培養環境や医師・培養士の技術が結果を左右します。
「これを飲めば良くなる」といった単純な方法はなく、卵巣予備能に見合った正しい卵巣刺激で成熟度の良い成熟卵を採取することが大切だと考えています。特に高齢になると卵子は成熟しにくくなるので、卵巣刺激が大切になります。
えむさんの42 歳でAMH2・01ng/mlという数値は、年齢を考えると良好な数値で、10個採卵できたのも頷けます。今後は、年齢に合った卵巣刺激を行い、きちんと成熟した卵子を採ることに専念し、高い技術の受精や培養をしたうえで、PGT -Aを行うことが現実的な選択肢だと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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