高プロラクチン血症で肝臓に負担をかけない治療法がありますか?【医師監修】

【医師監修】宮崎 和典 先生  大阪医科大学医学部卒業。学生時代の新生児医療への興味がきっかけとなり、 体外受精や不妊治療の世界を志す。同大学産科婦人科講師を経て、1992年 に不妊症、不育症治療専門クリニック、宮崎レディースクリニック開業。開業 当初より泌尿器科の専門医による男性不妊外来を開設する。A型・しし座。 開設 20 周年を迎えて、今年は少しずつ内装をリニューアルする予定。生殖医 療の歴史がまだ浅い日本では、不妊治療専門クリニックとして老舗的存在に。
あらいぐまさん(37歳)Q.結婚 3 年目、不妊治療を始めて1年半です。高プロラクチン血症を指摘 され、カバサール® を服用し、排卵誘発剤を併用しつつタイミングをとっ てきました。ところが、カバサールⓇを服用して約 4カ月後に肝臓の数値 が3ケタまで上がり、薬の副作用ということで服用を中止しました。現在 は排卵誘発剤として、卵胞を育てる注射、排卵を促す注射、黄体ホルモ ンを注射してもらっていますが、よい結果が出ません。 この前の受診では「効果が少ないから薬を変えるか増量したいけれど、肝 臓の負担を考えると……」と、様子をみることになりました。肝臓に負担 をかけずにできる効果的な方法はあるのでしょうか。

治療薬の影響は?

高プロラクチン血症の治療薬であるカベルゴリン(商品名:カバサール)の服用で、肝臓に負担がかかることはありますか?
宮崎先生 突然、肝臓の数値が上がるというのは、やはり薬の影響と考えるのが妥当でしょうね。
とはいえ、一概にこの薬特有の副作用ではないとも思います。
どのような薬でも肝機能障害のリスクがあるというようなことが注意事項に書かれていますし、あまり気にしすぎないほうがいいと思います。ご心配ならパーロデルⓇやテルロンⓇなど、別の薬に変えてみてもいいでしょう。
あるいは、カバサールⓇは1週間に1度の服用でいい持続性のある薬なので、量を減らして半錠だけ飲んでみてはいかがでしょうか。

高プロラクチン血症

肝臓に負担をかけずに高プロラクチン血症を治療する方法はあるのでしょうか?
宮崎先生 そもそも、プロラクチンの値が高くても正常に排卵する人もいるし、逆に排卵が止まってしまう人もいるわけで、その中間の状態が黄体機能不全ということになります。
私は排卵誘発で排卵できる人まで、プロラクチンを下げる薬を服用する必要はないと考えています。
TRH負荷テストで診断できるのですが、夜にだけプロラクチンの値が上昇する潜在性高プロラクチン血症の方などには、あまり必要性を感じません。
数値だけで判断して誰にでも薬を処方する風潮はいかがなものかと思います。
プロラクチンの値を下げたからといって、妊娠率が上がるというわけでもないのですか?
宮崎先生 下垂体から分泌されるホルモンの1種である「プロラクチン」は、産後に母乳を出したり、排卵を抑制したりする働きを持っています。
ところが、産後でもないのに大量のプロラクチンが分泌されて乳汁が出たり、排卵障害を起こす疾患が、高プロラクチン血症です。
排卵障害や黄体機能不全を起こす原因にはなりますが、程度問題で、かなり以前から妊娠とプロラクチンそのものはそれほど関係がないと考えられています。

排卵誘発法の変更

なるほど。先生なら、今後どのような治療をしますか?
宮崎先生 どの程度プロラクチンの値が高いのかわからないけれど、排卵誘発法を他にも試してみるでしょう。
クロミフェンは、使いすぎると頸管粘液が少なくなるのであまり使わないほうがいいですね。
あらいぐまさんはおそらく、もともと排卵障害があると思いますので、単独で排卵しなければやはりカバサールⓇと併用するだろうとは思います。
 37 歳という年齢も考慮すると、別の排卵誘発法を使った人工授精や体外受精も視野に入れておいてほしいですね。
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