卵が小さいまま排卵。人工授精を続けるより体外受精に進むべき?【医師監修】

【医師監修】俵 史子 先生 浜松医科大学医学部卒業。総合病院勤務医時代より不 妊治療に携わり、2004年愛知県の竹内病院トヨタ不妊 センター所長に就任。2007年、 出身地の静岡に俵史子 IVFクリニックを開業。 2009年の12月から男性不妊 外来もスタート。泌尿器科医のサポートを受け、月1回(第 2土曜日午後)、男性患者の診療を受け入れている。
ねこさん(43歳)からの投稿 Q.41歳で妊娠するも流産。その半年後から不妊 治療に通い始め、人工授精を3回しましたが、うまくいきません。 クロミフェンを飲んでいるのですが、卵が小さいまま排卵する ことが多く悩んでいます。2度の妊娠経験から、医師からは体外受精はすすめられていません。早く体外受精をする病院に変 えたほうがいいですか?

早い排卵の意味するもの

ねこさんは、卵が 16 ㎜のときに2日後の排卵予測を立て、調べるとすでに排卵済み、という状態が続いているようですが、やはりこれはかなり小さく排卵しているということですか。
俵先生 そうですね。排卵誘発をせず、自然の状態での排卵でしたら正常範囲に入るかと思いますが、クロミフェンを飲まれているとしたら確かに早いと思います。
排卵が早くなってしまう原因は?
俵先生 ねこさんは 43 歳ということですから、やはり年齢的なことが起因しているのではないかと思います。
卵巣機能の低下が疑われる方ほど、早く卵胞が育ってきたり、小さいまま排卵するケースが増えてきます。
また、卵胞が育っていても中に卵が入ってない、卵は入っていても受精できないほど状態が悪いなど、年齢が上がると卵の質的な部分でも低下してきます。

年齢因子と妊娠率

ねこさんは妊娠経験が2回ありますが、それでも難しいのですか。
俵先生 以前妊娠されたときと 43 歳の今では、妊娠しやすい条件はかなり異なってきています。
精子など他の条件に変わりがないとしても、やはり女性側の年齢が高いと厳しい。
たとえば 30 代後半で妊娠率が 30 %だとしたら、 40 代でその半分、 43 歳、44 歳になるとひとケタ……、限りなくゼロに近づいてしまうということを知っていただきたいと思います。
体外受精にステップアップすれば妊娠する確率は上がりますか?
俵先生 体外受精は、卵の質を上げる治療ではありません。
卵管因子や受精の問題がある方は、体外受精によって妊娠の確率を上げることができますが、年齢により卵の質が落ちてしまっている場合は妊娠への期待値が一般不妊治療と大きく変わらなくなってしまうので、ねこさんの先生も強くおすすめしていないのではないでしょうか。

卵巣機能を調べてみよう

ねこさんは、今後どのような治療方針を立てるとよいでしょうか。先生なら、どう治療を進めていかれますか?
俵先生 まず、卵胞刺激ホルモン(FSH)や抗ミュラー管ホルモン検査などで客観的な卵巣機能の評価を受けてみてはいかがでしょうか。
その結果を踏まえ、体外受精にトライすると決めたら、すぐにステップアップの準備を。
そして「妊娠するまで」というような漠然とした目標ではなく、1回、2回と回数を決めて臨まれることをおすすめします。
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