パンさん(37歳)
今後の方向性についての相談です。
移植7回目からは、PGT-A正常胚を2度移植するも稽留流産と陰性。
現在残っている胚はPGT-A正常胚1つと低頻度モザイク1つです。
まずは、以前行ったことがある子宮鏡検査をしてみようか考えています(その後2回流産手術をしているため)
他に移植前にできること、やっておいた方がいいことがあれば教えてください。
表参道ARTクリニックの小川 達之先生に伺いました。

2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職、2025年8月より表参道ARTクリニックの院長に就任。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
PGT-A正常胚での流産では、胚の染色体異常以外の要因を想定していきます。具体的には、子宮形態異常、甲状腺等の内分泌異常、血液凝固異常、免疫系の異常があります。子宮鏡検査は優先される検査の一つです。
免疫系の検査では、抗リン脂質抗体の他に血中NK細胞活性や子宮NKサブセット検査があり、異常がある場合には脂肪乳剤(イントラリピッド)や免疫グロブリンの適応が考えられます。施設によって治療方針はさまざまですが、PGT-A正常胚での流産であれば、まだであれば検査から検討していただいても良いかもしれません。
低頻度モザイク胚は妊娠率がやや低いですが、妊娠成立した場合には発育途中で染色体異常の細胞が淘汰され、染色体正常の細胞が増殖し、健康な赤ちゃんになることが多いと考えられています。過去の報告では、そのまま出生時まで染色体異常を有した症例は1-2%と海外で報告されています。モザイク胚の移植は選択肢の一つとして考慮されます。
生活習慣の改善については、十分な睡眠を取れるようにすることが重要だと思います。もちろん、バランスのとれた食事、ストレス管理、適度な運動も推奨されます。ビタミンDは免疫バランスもより良くすると考えられていますし、単独よりもマルチビタミンとして摂取した方が良いとも報告されています。ただし摂取量が多くなり過ぎないように注意してください。
残っている胚の使用については、染色体正常胚からで、原則は、単一胚移植とされています。
治療は、様々な項目を足すほど成功率が高まるとは限りません。過去の治療経過等を加味し、主治医とよくご相談の上で、納得のいく治療方針を立ててください。