【Q&A】採卵数減少の原因と改善策について〜丸田 英先生【医師監修】

オラフさん(43歳)

今年の6月と8月に採卵しました。
6月に行った採卵では、生理3日目から「ゴナールエフペン」300を刺激周期1~6の間の6日間、「HMGフジ」375と「ゴナトロピン1000」30を刺激周期7~10の間の4日間、「HMGフジ」300と「ゴナトロピン1000」30を刺激周期11~15の間の5日間行いました。
間隔をあけ、排卵予防注射も行いました。
採卵は刺激周期17日目。刺激周期14日目で、E2が21979でした。
採卵結果は、採卵に適した大きさの卵胞38個に対し、採卵数20、成熟卵16、受精卵11、胚盤胞1でした。
予想以上に採卵数が少なかった原因に関して「壁にくっついて外れないことはよくあります。でも20個ありますから」と説明を受けました。

この時は採卵数よりも、胚盤胞が少ないことに意識を向け、再度8月に採卵しました。

生理3日目から「HMGフジ」300と「ゴナトロピン1000」30を刺激周期1~4の間の4日間、「HMGフジ」375と「ゴナトロピン1000」50を刺激周期5~15の間の11日間行いました。
刺激周期13日目でE2は13184でした。
刺激周期17日目に採卵しました。採卵に適した卵胞数は24個でしたが、採卵できた数は8個でした。
原因として、「採卵の際に液体をかけたが、出てこなかった」とのことでした。
前回の採卵からの間隔、年齢や卵の発達などはっきりとした原因は分からないとのことでした。
採卵数日前の最後の診察日より、成熟した卵胞が3個減っていました。私の年齢で8個採れたら良いとも教えて頂きました。
採卵数が少なかったので、初期胚で保存しました。排卵誘発剤は3度とも全て点鼻薬です。

前置きが長くなり申し訳ありません。

年齢があがるにつれて、卵胞と実際に採卵できる割合は下がるとは思いますが、私自身で食べ物やサプリなど何か改善できること、病院側で対策して頂けることはありますか?
年齢による低下でしかありませんか?
できることがあれば、頑張りたいです。

高刺激により、AMHは下がりませんか?
また高刺激を1周期あけて続けたことで、私の年齢での卵巣の回復力が気になります。
先生がおっしゃっていた通り、刺激を続けたことで採卵に影響は出ますか?
過去の採卵後症状はありませんでしたが、今回は採卵日から3日間、嘔吐、腹痛、下痢が続いたので気になりました。

また私はスギやヒノキのアレルギーが、血液検査で基準値の3倍あります。
毎日「デザレックス」や「ビラノア」を症状に合わせて服用していて、服用していることは病院に報告しています。
鼻水やくしゃみが1年中出やすい体質で、排卵誘発剤が特に今回効かなかったことは考えられますか?

長くなり申し訳ありません。
宜しくお願いいたします。

まるたARTクリニックの丸田 英先生に伺いました。

【医師監修】まるたARTクリニック 丸田 英 先生
久留米大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院 産婦人科を経て、2012年3月より生殖医療専門。2020年3月、まるたARTクリニックを開業。初診から治療終了まで同じ医師が担当することにより、効率的で高い成功率が得られ、何より患者さまの安心へと繋がると考え、診療に臨んでいる。「どんな時も患者さま第一、患者さまご自身の一瞬一瞬を大切に」を目標に掲げ、不妊治療と仕事の両立に理解ある治療スケジュールを導入。また、PRP療法などの最新治療や無料託児所完備等、不妊治療の環境向上にも積極的に取り組んでいる。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ご質問ありがとうございます。治療経過をお察し申し上げます。治療の経過をとても丁寧に記録されていて、ご自身の状況を正確に理解しようとされていることが伝わってきました。拝見した情報の範囲でお答えしますので、一般的な見解としてお読みください。実際の判断は、検査値やエコー所見をすべて把握されている通院先の先生とご相談いただくのが前提になります。6月の採卵は、採卵20個、成熟卵16個(成熟率80%)、受精卵11個(受精率69%)でした。実は、卵が成熟する割合(約8割)と成熟卵が受精する割合(約7割5分)は、年齢が上がってもほとんど変わらない工程で、あなたの数字はどちらも標準どおりです。採卵室と培養室の工程は、きちんと機能していたと読み取れます。

一方で、受精卵11個から胚盤胞が1個という部分。ここが年齢の影響が最も強く出る工程です。当院のデータでは、43歳以上の方の採卵1回あたりの平均は、採れる卵が約4個、凍結できる胚盤胞が約0.5個です。あなたは1回の採卵で20個の卵を採り、胚盤胞1個を凍結されています。厳しい結果に感じられたと思いますが、データ上は平均を下回っていません。むしろ採卵数は同年代の平均を大きく上回っています。

「卵胞数に対して採卵数が少ない」ことについて

こちらは、年齢だけでは説明しきれない可能性があります。ご記載のとおり、3回とも排卵を促すお薬が点鼻薬だったとのことですが、点鼻薬はご自身の脳下垂体からホルモン(LH)を出させる方式のため、まれに反応が不十分で、卵が卵胞の壁から外れにくくなったり、未熟のままになったりする方がいらっしゃいます。AMHが7.28と高く卵胞数の多い方では、この傾向が出やすいという報告もあります。採卵前のトリガーを変更したり、強化することで空砲率を下げる可能性がありますので主治医にご相談されてはいかがでしょうか。具体的には、点鼻薬使用後のホルモン値(LH・プロゲステロン)を確認すること、点鼻薬からhCG注射への変更や両方を併用する方法(ダブルトリガー)、点鼻薬から採卵までの時間の調整などがあります。2回続けて卵胞数と採卵数の開きが大きかったのであれば、次の採卵前に相談する価値のあるポイントだと思います。これは食事やサプリで変えられる部分ではなく、病院側の工夫の領域です。

ご自身でできることについて

正直にお伝えすると、採卵率そのものを上げると証明された食べ物やサプリメントは、現時点でありません。葉酸・ビタミンD・コエンザイムQ10・マルチビタミンという現在の組み合わせは妥当で、これ以上足すことよりも、ビタミンDは血中濃度を測って足りているか確認するほうが意味があります。あとは睡眠、禁煙、適正体重の維持といったことが今できることではないでしょうか。

高刺激でAMHは下がるか、卵巣は消耗しないか

排卵誘発のお薬は、その周期に育つ予定だった卵胞を育てているだけで、卵巣に眠っている卵の在庫を先食いするわけではありません。高刺激を続けたことでAMHの低下や卵巣の老化が早まるという根拠はありません。採卵直後の時期はAMHが一時的に低く出ることがありますが、これは回復します。また、採卵の結果は同じ方でも周期ごとの変動がかなり大きく、6月と8月の差が「刺激を続けたダメージ」を意味するとは言えません。

アレルギーのお薬について

デザレックスやビラノアなどの抗ヒスタミン薬が排卵誘発剤の効きを悪くするという報告はありません。服用を続けていただいて問題ありませんし、今回の結果の原因ではないとお考えください。

強い刺激の周期のあとは、月経の量や日数が一時的に乱れることは珍しくありません。数周期続くようであれば診察でご相談ください。

最後に。胚盤胞になりにくいことの主な要因は年齢による卵の質の変化で、ここは残念ながら努力で覆せる部分が小さいのが事実です。ただ、「卵胞数に対して採卵できる数が少ない」ことについては、トリガー(点鼻薬)の方法という、調整できる余地が残っています。年齢のせいだけと片づける前に、確認する価値のある部分だと思います。また、移植3回と流産のご経験がおありですので、今後の移植に向けて着床や流産に関わる検査についても一度整理されるとよいかもしれません。

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