
新しい家族をつくるための手段は子どもを産むことだけではありません。他にも子どもをもつための方法があります。選択肢を広げると、自分たちらしい家族のカタチが見つかるかもしれません。
卵子提供
第三者から卵子の提供を受け、夫の精子と受精させて妻の子宮で妊娠・出産する仕組み。
日本国内では倫理的・社会的な課題から法整備の議論が続いていて、台湾・米国・タイなどの海外エージェントや医療機関を介するケースが多いのが現状です。信頼できる医療機関やカウンセラーを通じて、慎重に進めましょう。
卵子提供体験談:子どもが欲しいという強い思いで選んだ道(Hさん 取材当時46歳)
Hさんは体外受精を続けるも良い結果が得られませんでした。41歳のときに転院した有名なクリニックで「それでも子どもが欲しい」という夫婦の強い希望を医師に伝えると、海外での卵子提供という方法を紹介されました。初めて聞く”卵子提供”という言葉。可能性として唯一残された選択肢ならば受け入れようと思ったそうです。
台湾のクリニックを紹介してもらい、まずメールで気になっていることを質問。ひととおりの不安がクリアになったところで現地へ。通訳を介しての会話で医師が信頼できると確信し、日本と台湾両国で万全の態勢を整えます。
2回目の渡航で移植をするも8週目で流産。3回目の渡航で無事に着床、出産されました。何度も傷つき、夫婦で悩んだ日々を過ごし、ようやくふたりにとっての”最善”が見つかりました。
里親制度
①特別養子縁組
さまざまな事情で家庭で暮らせない子どもを、自分の子どもとして家庭に受け入れる制度。子どもの福祉を最優先に考えた制度で、生涯にわたる親子関係が築かれます。
②養育里親
特別養子縁組を目的とせず、一定期間子どもを育てる制度。自治体や民間あっせん団体(都道府県の許可制)が実施。養親の年齢上限が設けられていることが多いため、早めに情報収集しましょう。
●もっと知りたいと思ったら
・お住まいの「〇〇県 養子縁組」で検索し、概要や手続き方法を確認する
・こども家庭庁の「養子縁組あっせん事業者一覧」から、各事業者のサイトにいき、詳細を確認する
養子縁組体験談:産めないとしても、子どもは育ててみたい(A子さん 取材当時44歳)
38歳から体外受精を繰り返しても妊娠せず、子どもが欲しいという強い願いから、ご主人から「養子を迎えるのはどう?」と言われますが、そのときは「治療を頑張っているのに」と怒りさえ感じたそう。でも40歳を超えると、「もう産むのは諦めたほうがいいかな」と思い始め、「でも将来は賑やかに暮らしたい、育てることは諦めたくない」と思ったA子さんは、養子を迎えようと決心。
1カ月後に児童相談所に連絡し里親研修に参加、審査を受け3カ月後には里親認定されたそう。すぐに生後6カ月の赤ちゃんを紹介され、面会を重ねて11カ月のとき、里親になることが決定し自宅へ引き取りました。さらに半年後、特別養子縁組の審判が確定され、戸籍上でも親子となりました。今は常に笑いが絶えない毎日が楽しいとA子さんは実感しています。
40代の不妊治療は、時間や費用、仕事との両立など、決断を迫られることの連続です。治療を続ける道、別のカタチで家族を迎える道、そして子どもをもたずに夫婦ふたりで人生を歩む道――。どの選択にも正解・不正解はありません。納得して選んだその一歩こそが、ふたりにとっての「自分たちらしい選択」になるはずです。

カウンセリングルームwith主宰。福岡ART クリニック勤務。妊活中のつらさや不妊の悩みを抱える方をサポートしています。