【Q&A】6回のホルモン補充周期移植陰性後の対策は?〜小川 達之先生【医師監修】

すもさん(40歳)

ホルモン補充周期で6回移植しましたがいずれも陰性でした。
不育症の診断を受け、バイアスピリンを生理5日目から服用し、シート法、ラクトフローラフォルテを使用し 、5日目4AA PGT-A正常胚を移植しても着床しません。
2年前にバイアスピリンを服用して人工授精を3回したところ、正常な妊娠ではありませんでしたが2回着床した経験があります。
来月子宮鏡検査とCD138検査を受ける予定です。
毎回ホルモン補充周期での移植だったので、自然周期での移植も検討しています。
正常胚が残り2個ありますが、着床の可能性を上げるために推奨される検査や治療法、他に試せる方法はあるでしょうか?

表参道ARTクリニックの小川 達之先生に伺いました。

【医師監修】表参道ARTクリニック 小川 達之 先生
2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職、2025年8月より表参道ARTクリニックの院長に就任。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

自然周期の胚移植では、排卵した卵巣に黄体が形成され、妊娠の成立や維持に関わるホルモンが分泌されます。ホルモン調整周期と比較すると、自然周期では妊娠高血圧症候群や分娩時の多量出血などのリスクが低いことが報告されています。黄体が存在することが、こうした違いに関係している可能性が考えられています。ただし、自然周期がすべての方に適しているわけではなく、月経周期や排卵の状態などを踏まえて症例ごとに検討します。

子宮鏡検査では、子宮内膜ポリープなどの子宮内腔病変や、慢性子宮内膜炎を疑う所見などを直接観察することができます。一方、子宮内膜組織のCD138免疫染色検査は、採取した内膜組織を顕微鏡で評価し、慢性子宮内膜炎の可能性を調べる検査です。これらの検査により、着床を妨げている可能性のある子宮側の要因を検討し、今後の治療方針を考える参考にすることができます。ただし、CD138陽性細胞の判定基準や対応について統一はされていません。

着床不成功が続く場合には、これまでの治療経過に応じて、子宮内膜の状態や免疫・凝固系などについて追加の評価を検討することもあります。しかし、こうした検査や治療の中には、有効性について十分なエビデンスが確立していないものも少なくありません。免疫療法、各種サプリメントや漢方、バイアスピリンなども、適応が明確な場合を除き、すべての方の着床率を高めることが証明されているわけではありません。

また、PGT-AでA判定となった胚でも、移植すれば必ず妊娠・出産に至るわけではありません。PGT-Aには胚の選択に役立つ側面がある一方、検査精度やモザイク判定などの限界があります。これまで日本国内における胚移植あたりの妊娠率は60%前後で報告されています。また、現在行われている胚盤胞の栄養外胚葉生検についても、胚への影響が完全にないと証明されているわけではありません。

さまざまな検査や治療を試みていらっしゃると思いますが、検査や治療を増やすことが必ずしも妊娠への近道になるとは限りません。それぞれについて「なぜ自分に必要なのか」を主治医と十分に相談し、必要性を取捨選択しながら、ご自身に合った治療方針を考えていくことが大切だと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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