【Q&A】低AMHでPGT-Aの正常胚確保が難しい場合の対策は?〜林 直樹先生【医師監修】

さとさん(41歳)

1人目を体外受精で2021年4月出産。
2022年から2人目不妊治療をしていますが、2025年3月の稽留流産以外、全く着床しません。

3回移植し、着床しなかったあとに別のクリニックで不妊症検査を受け、移植時生理5日目からバイアスピリン処方となりましたが、服用してもなお着床しません。

過去16回移植して全く着床しないので、現在は転院し、PGT-Aをしていますが、低AMHで採卵数も少なく、凍結も0か1。
凍結出来た胚盤胞をPGT-Aに回して正常胚が確保出来る日など来るのかと疑問に思っています。
低AMHで胚盤胞到達率が悪い場合、初期胚移植や小細胞採卵を検討したほうが良いでしょうか?

ウィメンズクリニックふじみ野の林 直樹先生に伺いました。

【医師監修】ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生
1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

16回着床しなかったという事実は重く受け止めますが、それだけで子宮に強い着床障害があるとは言えません。しかし子宮鏡検査などによる子宮内腔病変や卵管水腫の否定はしておくべきかとは考えます。年齢とともに胚の染色体異常が増えるため、これまで移植した胚そのものに原因があった可能性も十分あります。
内服していること自体が大きな問題とは考えにくいが、着床率を改善する目的で有効だという根拠も乏しいと思います。
抗リン脂質抗体症候群など明確な適応があれば別ですが、単に反復着床不成功だからという理由だけでアスピリンを投与しても、胚の染色体異常を補正することはできません。
また、着床障害を改善するというエビデンスも強くないかわりに、妨害するということもありません。バイアスピリンを飲んでも着床しなかったからさらに強い免疫治療が必要とも考えません。41歳では、1個の卵子から染色体正常胚を得られる確率は当然高くありません。したがって卵巣が反応するのであれば、基本的には安全に得られる卵子数を確保する方向が合理的です。
一方、卵巣刺激としてのFSH製剤を増量しても2~3個しか発育しないのであれば、強刺激に固執する意味も小さくなり、低刺激・自然周期系を選択する余地があります。つまり、「強刺激か低刺激か」ではなく、卵巣から1周期あたり何個の成熟卵を無理なく回収できるかで決めるということだと考えます。
PGT-Aは「正常胚を作る治療」ではなく、できた胚盤胞の中から染色体正常と判定された胚を選ぶ検査です。採卵数が非常に少ない場合には、PGT-Aまで進むことにこだわることで、何周期も移植そのものができなくなることがあります。その場合には、PGT-Aを目指す治療と、初期胚の段階で移植する治療のどちらが自分に適しているかを考える必要があります。
PGT-Aを追加する胚盤胞移植を狙うのか、場合によっては2個の初期胚移植の選択肢もあるかと思います。少数卵しか得られない方では、小卵胞も含めて回収可能な卵子を拾い上げる戦略には一定の合理性があります。ただし成熟卵獲得率は低くなるので、あくまで確率の問題と考えます。
また未熟な状態での卵子であっても、体外成熟培養にて成熟卵子となり受精すれば、そこから確率は低くなりますが仮に胚盤胞に至れば染色体正常胚である確率は成熟卵胞と変わりないという報告があります。

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