
▶︎反復流産の原因と男性側の対策について
私(夫)の年齢は39歳、妻は40歳。流産を4回しています。1回目、2回目、4回目の流産は7週目で心肺停止稽留流産、3回目は5週目で化学流産です。着床はしますが、8週目を迎える前に必ず流産します。おそらく原因は私の精子にもあると思います。私は、DFI検査などの精子の検査やZyMot(ザイモート)などの精子の選別を行うべきでしょうか?また、男性の私にも何かできることはないでしょうか?

順天堂大学医学部卒業。膨大な数の研究と実験は毎日深夜にまで及び、1985年、ついに日本初のギフト法による男児が誕生。1990年、セントマザー産婦人科医院を開院。現在も研究と実験に精力的に取り組んでいる。日本受精着床学会監事。順天堂大学医学部客員教授。
40歳で4回の流産は、どのような原因が考えられますか?
田中先生● 4回の流産のうち3回が心拍確認後の稽留流産という経過から考えると、まず確認したいのが流産組織(胎盤)の染色体検査です。現在、夫婦の染色体検査の結果を待たれているとのことですが、年齢による流産原因を考えるうえでは、染色体を調べることが重要と考えます。40歳前後では、卵子の加齢に伴う染色体異常の割合が高くなり、それが流産組織の染色体異常につながるケースは少なくありません。
治療や対策はありますか?
田中先生● 最も有効な方法の一つとして着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)が挙げられます。ただし、費用面の負担が大きくなりますので、まずは保険診療の範囲を有効活用しながら治療を進めることも現実的な選択肢です。また、40歳前後では胚盤胞の約8割に染色体異常が認められるという報告もあります。保険の移植回数には限りがありますので、採卵し、十分な数の胚盤胞が得られた場合には複数胚(この場合は最大5個)の移植を検討する考え方もあります。多胎妊娠のリスクについては、年齢や胚の状態を踏まえると複数個移植してもすべてが着床する可能性は高くありません。一方で、多胎妊娠となった場合には母体への負担なども考えられるため、必要に応じて減数手術など高度な対応ができる医療機関で治療を受けることが重要です。
ご主人は「男性側にも原因があるのでは?」と心配されています。
田中先生● 今回は男性側が主な原因である可能性は極めて低く、DFI検査や精子選別技術などが必ずしも必要とは言えません。顕微授精では、複数の精子の中から最も状態の良い1個を選択し、使用します。適切な精子を確保できれば、過度に男性側の要因を心配する必要はないでしょう。
繰り返す流産では、「なぜ流産したのか」という原因をできる限り明らかにすることが、その後の治療方針を考える上で非常に重要です。もし原因究明が十分に行われていないと感じる場合は、必要に応じてセカンドオピニオンを受けたり、主治医へ積極的に質問したり、転院することも大切なことです。ご夫婦だけで悩み続けるのではなく、納得できる説明や治療方針を示してくれる医療機関を探し、安心して治療を続けられる環境を整えていただきたいと思います。