【Q&A】PCOS、排卵誘発について~浅田先生【医師監修】

くるみさん (26歳)

今回5回目の人工授精をしました。
7.31の夜23時と24時にブセレリン点鼻薬をして、8.2の昼頃人工授精をしました。
その時卵胞18ミリ弱
先生曰く排卵しかけているとのことで、いつも人工授精後オビドレル皮下注射をうち排卵してますが、今回は排卵中とのことで打ちませんでした。
8.3の朝基礎体温は上がらず、織物はドロっとしたのが朝出ました。
ブセレリン点鼻薬は36-40時間後に排卵すると見ましたが、多嚢胞性卵巣症候群で排卵しにくくオビドレル皮下注射でないと排卵しないのではないかと不安です。
ブセレリン点鼻薬はオビドレル皮下注射より排卵誘発力は弱いですか?

浅田先生に聞いてきました

【医師監修】浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

オビドレル皮下注射(hCG製剤)は非常に強い作用があって、効果が長続きすることで、体外受精のときなどは卵巣過剰刺激症候群を引き起こすこともあるため、私は多嚢胞性卵巣症候群の方にはほとんど使用しません。
ブセレリン点鼻薬の方がオビドレル皮下注射よりも弱いのは間違いありません。

成熟卵になるよう刺激をして、ブセレリン点鼻薬を使用すれば、当然排卵します。当院では多嚢胞性卵巣症候群に対して、多くはそのように治療しています。

各医師の見立てで治療しているので、今回オビドレル皮下注射をしなかったことについて、私からのコメントはありません。

基礎体温は排卵したから上がるのではなく、排卵していなくても黄体ホルモンを作り始めたら上がります。基礎体温で排卵を判定することは難しく、基礎体温はほとんど当てにならないものです。不妊治療においては、古典に近いものと考えています。超音波で見れば排卵したかどうかわかります。

多嚢胞性卵巣症候群は非常に排卵しにくいタイプです。質問者さんの場合、AMHが11と2桁もあるので、なかなか一筋縄ではいかない特徴があります。不妊治療専門の施設で、このような症例も安全に排卵させる、安全に採卵できる技術を持っているところで治療することをお勧めします。

サプリメントで妊娠率は上がりませんし、現在の先進医療のほとんどは、エビデンスがなく効果のないものです。とりあえず先進医療という枠に入っているだけで、やがては消えていく、世界では否定されているものばかりです。それらの中でタイムラプスだけは別で、エビデンスがあります。そもそもタイムラプスは新型の培養器で別物です。

卵巣刺激の技術、培養・受精操作の技術の高い施設を選択してください。PGT-Aができれば、PGT-Aの生検の技術が高いところで治療を受けてください。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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