【Q＆A】毎週期採卵か、１周期休むか～浅田先生【医師監修】

1周期休んで採卵をしたからといって、質の良い卵が採れるわけではありません。
卵は排卵の半年、あるいはそれ以上前から卵巣の中で勝手に育ち始めますので、質の良い卵を選んで育てることはできません。めろんさんのAMH値は0.36ng/mlと低いので、卵巣の中で育ち始める卵の数は少なく、その上で半年以上かけて育つ卵の後半3ヶ月がホルモンに依存して卵が育つと言われています。44歳ですと自然排卵する卵はほとんどが成熟していない卵となりますので、卵巣予備能に合った適切な卵巣刺激を行い、卵がきちんと成熟するようにすることが重要です。その上で後半の3ヶ月はホルモン依存で卵は育ちますので、例えば今月に卵巣刺激をすれば、来月排卵する卵や再来月排卵をする卵に影響を与えています。
卵は産まれる前に1度だけ作られてその後は2度と作られませんので、44歳であれば卵子の老化により、多くの卵の質は低下していますので、できるだけ多くの卵を成熟卵として採り、その上で受精卵を作っていくことが必要になります。ここで1周期休んでしまうと、44歳の“成熟しない卵を排卵する卵巣”に戻ってしまうので、私は1周期休むことはおすすめできません。

また、先進医療も含めて少しでも確率の高い治療を希望されていますが、現在の先進医療はエビデンスがないため、保険適用が保留となった治療法となります。ただ、タイムラプスは培養器の進化系で治療ではありません。

タイムラプスを除く先進医療は残念ながら妊娠率を高める治療ではありませんのでおすすめしません。効果のない先進医療等にお金を使うよりも、適切な卵巣刺激をして採卵を行い、できればPGT-A検査をして染色体異常のある受精卵を移植しないようにすることが、一番の効率の良い治療になると思いますので、そういった治療を行うことができるクリニックで治療をされることをおすすめします。