【Q＆A】直近では最高の4個採卵できるも、すべて受精しませんでした～浅田先生【医師監修】│【医師監修】ジネコ不妊治療情報

ういっちゃんさん　（３８歳）
低AMHで採卵数が2〜4個と少ないです。顕微授精を始めた時はまだしっかり受精したり胚盤胞まで育ったりしていたのですが、直近の採卵(2024.3)で最高の数4個採れるも全て受精せず。年齢やAMHの値も影響あるとは思うのですが、このような状態で卵胞刺激法は何か良い方法はありますか?
鍼灸院にも通っているのですが、なかなか良い結果が出ません。不妊治療を長年研究されてきたらしく、不妊専門クリニック(私が通っている病院とは別)と併設している鍼灸院なのですが、西洋医学の面から見て卵巣や子宮に効果は期待出来そうですか?
また、ラクトバチルスについてはサプリの服用と膣剤で改善に努めている最中ですが、どのくらいの期間で良い値になりますでしょうか?
出来れば改善されたことを確認してから移植したいと考えています。(採卵されたらの話。現在、凍結卵はありません。)
顕微授精をしている理由としては、最初は精子の所見がイマイチで、体外受精予定でしたが当日に顕微授精に変更となりました。
それ以降はザイモートを希望しているため、顕微授精です。主人は1980年4月生まれ。精子の所見は昨年から運動率など上がってきています。

浅田先生に聞いてきました。

【医師監修】浅田レディースクリニック　浅田義正先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』（講談社）など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

AMHが0.29ng/mlと卵巣予備能が低いため、一度に多くの卵子を採ることができないのはやむを得ないと思います。直近の顕微授精では、すべて受精しなかったとありますが、きちんとした成熟卵を採らないと、受精卵ができる確率は低くなります。常に受精卵ができないわけではなさそうなので、受精障害ではないと思いますから、採卵のタイミング等が適切であったかが問題でしょう。

鍼灸院にも通われていますが、鍼灸で妊娠率が向上したというエビデンスはありません。ラクトバチルス属乳酸菌の違いで妊娠率を説明する研究はされていますが、種類が非常に多く、まだまだ研究途上のため、妊娠率向上に結びつくエビデンスはありません。

子宮内膜は子宮環境を整えるため、月経により毎月入れ替わっています。そのため子宮環境による妊娠率を説明することは難しく、子宮内膜が妊娠率に与える影響は非常に少ないと思います。子宮の中に病原菌がいれば、もちろん妊娠の可能性は低くなりますが、そのような状態の患者さんは何らかの病的症状があると思います。
赤ちゃんが生まれるかどうかは、カップルの遺伝子の組合せ、遺伝子の発現が一番大きな要因となります。

顕微授精においては運動精子を一匹だけ選びますので、精子の運動率・濃度の所見もあまり関係がありません。ザイモートとは、良好な運動精子を得るための精子処理の一つですが、ザイモートを行ったからといって妊娠率が向上するということは考えにくく、また高額ですので臨床的有用性は低いと考えます。
無駄な検査や治療にお金を使うことなく、成熟卵をなるべく多く得ることができるクリニックでの治療をおすすめします。