【Q&A】PGT-Aについて~藤本先生【医師監修】

まな0227さん(36歳)

2年前から二人目不妊治療をしていて、現在36歳です。
第一子は31歳時に自己流タイミングで2周期目で授かりました。
1年目は自己流タイミングで半年。クリニックに通いタイミングで半年試しましたが妊娠に至りませんでした。
2年目から夫の海外赴任が決まったため、昨年から凍結精子で体外受精を行っています。
1回目の採卵では卵7個に対して体外・顕微授精スプリットで受精を行いましたが、体外受精をした卵は胚盤胞まで行かず、顕微授精をしたものが4つ胚盤胞まで育ちました。
※5日目 4BB.4BC.4BC、6日目 4BC
5日目の胚盤胞は4BB(移植時5BB)、4BC(移植時5BB)をそれぞれ移植しましたが、1回目陰性、2回目䛿hcg8.5で化学流産となりました。
2回目採卵では1度目の体外受精がうまくいかなかったことから、顕微授精のみ行い、卵8個のうち2個胚盤胞になりました。
※5日目 4AB.4AB(移植時4ABのまま)
こちらもそれぞれ移植し、どちらも低hcg4 とhcg24 で化学流産となりました。
受けられる検査は受けて、改善できることはしています。
●EMMA:ラクトバチルス0→膣剤治療後半年後再検査したところラクトバチルス90%
●ERA:late receptive 12時間前移植推奨→3回目䛾移植からERAに合わせて移植
●抗リン脂質抗体陽性→移植3回目後にしてない検査を先生に伺い発覚。4回目移植からアスピリン内服
次の採卵からPGT-Aをしてはどうかと先生から提案されていますが、高額なことと、PGT-Aについての知識が乏しいため困っています。
PGT-Aについての利点やリスク、また妊娠率はどのくらい変わるのかなど詳しく知りたいです。
また上記以外に何かしたほうが良い検査などあれば教えていただけると助かります。
よろしくお願い致します。

藤本先生に聞いてきました

【医師監修】さっぽろARTクリニックn24 藤本 尚先生

日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
ご質問の件にお答えさせていただきます。
ここでは、PGT-Aについて重点的に書いてみます。

まずは、大前提としてPGT-Aを行う場合には、その後の体外受精にかかるすべての行為が自費診療となります。

PGT-A検査自体も胚1個当たりでの費用が自費で発生する(自費のため施設によって費用は異なります)ことと、胚移植に伴う投薬や検査、行為などがすべて10割の自費診療となるため費用は高額となります。

PGT-Aは胚盤胞の構成する細胞(200-300個程度)のうち数個の細胞を採取して、胚が正倍数性の胚かどうか?を調べる検査です。

ヒトが妊娠出産するためには正倍数性の胚ができ、妊娠着床する必要があります。
妊娠したが流産する場合(化学流産含む)、そもそも妊娠しない場合にはその周期にできた胚に異常(正倍数性の胚でない)があるために起こります。
PGT-Aをすることで、のちに流産する胚、妊娠しない胚を選別して除外することができるというのがPGT-Aの一番利点です。
しかし、PGT-Aで正倍数性胚を選別し、胚移植を行っても妊娠率は約65~70%程度です。
これは年齢に関係なくPGT-Aで正常と出た胚であれば30歳の人でも45歳の人でも65~70%程度になります。
ただここで不思議に思いませんか?100%ということはないにしろ、90%でもないのです。これはなぜか?ここにPGT-Aのデメリットが隠れています。

一つはモザイク胚の存在です。

この解説は短く書くのは難しいんですが、シンプルに書くと200-300個ある細胞の一部の細胞を検査するのですが、胚盤胞の時点では正常な細胞、異常のある細胞が混在している場合があるため、PGT-A検査のために採取した細胞が、胚(胚盤胞)の本当の状況を反映しない場合があること。
このことは検査で【異常】と出た場合でも、実は一部ある異常な細胞を採取してきただけで、胚(胚盤胞)としては正常な場合があること、また【正常】という結果が出た場合でも、胚盤胞の一部の細胞をとってきただけなので、胚(胚盤胞)全体としては異常細胞がメインのモザイク胚の場合、PGT-Aが正常という結果でも胚移植しても妊娠しないあるいは妊娠しても流産してしまう胚である可能性があります。
もうひとつは胚盤胞から一部の細胞を採取してくることによるデメリットです。
PGT-Aという検査は胚盤胞から一部の細胞を取ってくることで行う検査のため、この細胞の一部を取ってくるという行為自体が胚を傷つけることになります。
本来なら問題なく生まれてきたかもしれない胚(胚盤胞)だったにも関わらず、細胞の一部を採取したがために胚にダメージをきたし、その後妊娠出産まで行けなくなってしまう胚が一定数あると考えられています。
私個人としてはこの二つ目の理由は本当はあってはならないものであると考えます。
PGT-Aという検査をしなければ生まれていたかもしれない胚が、検査をしたがためにだめになってしまうということなので。
このことに関する議論はあまり大きくなされていないのが現状かなと感じています。現在世界的には胚へのダメージが少ない(あるいはない)検査方法が
研究されていてそちらが普及することを強く望んでいます。

まなまま0227さんはほかには検査を色々されているので、さらに追加ということはありませんが、保険での治療回数の残りを考えると、リスクも踏まえた上でにはなりますが、胚盤胞の2個移植も検討材料になるかと思いました。

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