【Q&A】先進医療のザイモートはどんな人でも試せるのか?~蔵本先生【医師監修】

さくらさん(38歳)

治療歴7年目で2つ目の病院に通院中です。
培養士のレベルが高いとのお勧めがあり通院していましたが、この病院での治療はそろそろ頭打ちな気がしていて、先進医療のあるクリニックに転院を考えております。
そこで、ザイモートが気になっていますが、男性不妊で精子量・運動量ともに悪くても利用する事はできますか?

蔵本先生に質問してみました。

【医師監修】蔵本ウイメンズクリニック 蔵本 武志 先生 久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部長を経て、1990年オーストラリア・PIVET メディカルセンターへ留学。帰国後、1995 年蔵本ウイメンズクリニック開院。JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長。久留米大学医学部臨床教授。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
Zymot(膜構造を用いた生理的精子選択術)は1回以上体外受精顕微授精をしても移植胚が得られない、または、胚移植しても妊娠しないカップルで、採卵日に新鮮精子を特殊な容器(Zymot Sperm Separator)に注入し、運動精子が泳いで上っていく途中に8ミクロンの小さな多数の穴の開いたフィルターを通して、できるだけ染色体の正常な精子を選別する方法です。
Zymotのメリット
限りなくDNAダメージの少ない精子、成熟した精子を選別することができます。また、フィルターの穴を通って来た精子を回収するため、染色体数の異常が疑われる頭部の大きな精子を除く事ができます。(100%ではありません)このことより精子側の原因による臨床的妊娠率の向上、流産率の低下が期待されます。(ただし、卵子側の異常については改善できません。)
Zymotのデメリット
ある程度前進運動精子数が必要で、あまりにも運動精子数が少ないと良好運動精子が回収できない場合があります。
生殖補助医療でないと妊娠できにくいと思います。
大きい子宮筋腫が子宮内膜近くにあれば着床率の減少、流産率の増加も考慮されますが、これは実際に診察してみないことにはわかりません。大きい筋腫があれば数個胚凍結して子宮筋腫摘出術後に胚移植することも良いかと思います。
卵巣刺激法、Zymot、PICSIも含めた精子選別法、顕微授精の工夫、培養方法(タイムラプス使用、培養液変更など)できることはあるかと思います。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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