【Q&A】染色体異常の可能性について~浅田先生【医師監修】

みみさん (31歳)
不妊治療歴2年で、1年間体外受精を行なっています。 採卵3回、良好胚盤胞移植を5回(内1回は2個戻し)しましたが、hcg 1以上はなく着床しておりません。(自然周期、ホルモン補充どちらも試しております)
TRIO検査、着床不全の検査も行いましたが全て異常なく、子宮内も綺麗な状態でした。AMHも年相応になります。 夫の精子にも異常ありません。
2つのクリニックで高刺激採卵、低刺激で採卵をしいずれも良好胚盤胞(4AA~BB)を獲得できております。
3回目の採卵の際、高刺激で行い10個採卵し、約半数が未成熟卵、スプリット法でICSI→全て受精したが胚盤胞ならず、IVF→3つ受精しましたが、全て1PNで培養し2つ6日目胚盤胞となり2個移植しましたが、陰性でした。(SEET法、AHA、ヒアルロン酸培養液あり)
2回目は低刺激採卵(ICSI)の際、1つ異常受精があり培養中止となっております。(2つは胚盤胞になり移植済)
1PNは胚盤胞になれば2PNと同じなので気にすることはないとのことですが、異常受精の発生が多いことが気になります。次回からは1PN胚を避けたほうがよいのでしょうか?
この年齢で6個胚盤胞を戻し着床しない原因はやはり染色体異常が大きいのでしょうか?流産経験がないため、夫婦染色体は査はしなくてもよいとのことでしたが、転座持ちで着床しない可能性もありますでしょうか?
35歳以下はPGT-Aをせず採卵→移植を繰り返した方がよいという話を聞き次回の治療を悩んでおります。
また、3回採卵し6個胚盤胞を獲得し全て移植しております。3周期の卵が着床できずにいるmpでPGT-Aに出しても正常胚が得られる確率は低いのかなと考えております。
強く子供を望んでいるので諦めず治療は続けていきたいと考えています。

浅田先生に聞いてきました

【医師監修】浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

 

これまでに3回採卵し、いろいろな経験をされていると思います。

これまでの経過でやや気になるのは、低刺激・高刺激というお話です。

10個採卵しても、未成熟卵子が半分ということですので、卵巣刺激のタイミングが悪いことが考えられます。

その後の受精率・胚盤胞到達率がよくないのは、成熟卵が上手く採れていないのではないでしょうか。

SEET法、アシステッドハンチング、ヒアルロニダーゼの使用で妊娠率を向上させるという科学的にはっきりとしたエビデンスは、実はほとんどありません。

質問者さんに何よりもお勧めしたいのは、適切な調節卵巣刺激ができ、成熟卵を十分に採れる施設でPGT-Aを受けることだと思います。

これまでにされてきたこと、現在悩んでいることの方向性、考え方を少し修正した方がよいのではないでしょうか。

1PNでも胚盤胞まで発育したら、染色体が正常である可能性は高いかというご質問がありますが、1PNでもその内容が2nという染色体のセットならば通常通り妊娠・出産できます。2PNの胚盤胞と1PNの胚盤胞では、移植あたりの妊娠率はほとんど変わらないと思います。

1PNが増える原因は細胞の中の問題であるため、よくわかっていません。

均衡型転座等の親の染色体異常と、流産や妊娠しにくいこととは関係しますが、質問者さんの場合はPGT-Aを実施するのがよいと思います。

低刺激・高刺激といっても、よい卵が選ばれて育つわけではありません。

個々の卵巣予備能に見合った適切な調節卵巣刺激をすることがまず大切で、成熟卵が採れるベストなタイミングで採卵すれば、その後の受精率も胚盤胞到達率もよくなるはずです。
確保できた胚盤胞をPGT-Aで診断し、異数性のない卵子を移植していくのが、質問者さんにとって一番の近道です。
せっかく検査を受けるなら、信頼性の高いエビデンスのある検査を受けていただきたいと思います。

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