不妊治療の初診について教えてください【医師監修】

検査ってどのタイミングで受ければいいの? 費用は? 不妊治療の初診に関する疑問や不安点について、 俵史子IVFクリニックの俵先生にお答えいただきました。

【医師監修】俵 史子 先生  浜松医科大学医学部卒業。総合病院勤務医 時代より不妊治療に携わり、2004 年愛知県 の竹内病院トヨタ不妊センター所長に就任。 2007年、出身地の静岡に俵史子IVFクリニッ クを開業。 4月から浜松医科大学の臨床講師 に就任。学生や研修医をクリニックに呼んで 不妊治療について現場で研修を行う。静岡県 には不妊治療の専門医が少ないので、今後は 後進の育成にも力を入れていきたいとか。

ドクターアドバイス

初診は、スタート地点に立つということ。 検査と同時に生活習慣の見直しや 夫婦間の意識の確認もしておきましょう。
ベビ待ちさん(主婦・31歳)からの投稿 Q.病院デビューする決心をし、電話でどのタイミングで行ったらいいか 聞いてみたところ、「生理2~4日目に来てください」と言われました。 病院によって違うとは思いますが、生理中の初診はどんなことをして、 また検査費用はどれくらいなのでしょうか。 受診する覚悟を決めたとはいえ、今から不安と緊張でいっぱいです。 少しでも心の準備をしておきたいので、よろしくお願いします!

初診を受けるタイミング

ベビ待ちさんは病院から「月経時に来てください」と言われたそうですが、初診を受けるタイミングはいつ頃がいいのですか?
俵先生 当院の場合だと診察は予約制なので、どの時期に来ていただけるか特定できないんですね。
チェックすべきポイントは、低温期、排卵期、高温期、それぞれの時期すべてにあります。
初診の時期にできる検査から行いますから、それほどタイミングを心配されることはないと思いますよ(俵史子IVFクリニックの検査の流れや内容は表を参照)。

検査の費用

検査の費用などは、どれくらいかかるのでしょうか。
俵先生 病院によって多少異なる部分はあるかと思いますが、皆さんからよく聞かれるのが、「体外受精を行っているクリニックだと検査も全部自費なのでは?」ということ。
当院では、体外受精の初診の枠と一般不妊治療の初診の枠を分けているのですが、まず一般不妊治療からスタートされるようでしたら、検査費用は一般の婦人科と同様に保険がきくものが多いです(一部自費項目あり)。
他の病院でも、その点は施設に問い合わせていただければ、事前にご確認できると思います。

病院デビューは不安でいっぱい

検査の内容や費用など、病院デビューの前は不安や疑問でいっぱいの方も多いと思いますが……。
俵先生 そうですね。お気持ちはよくわかります。
不妊治療専門クリニックは予約制の場合が多いので、待っている期間に妊娠のことや検査などについて勉強して、心の準備をしておいてはいかがでしょうか。
当院では初診のご予約をしていただいた後、一般不妊治療をご希望の方に「初診前説明会」という勉強会を実施しています。
そこで、妊娠のしくみや基礎体温の測り方、どのような検査をするのかなど、本当に基礎的な部分からお話ししています。
クリニック内のロビーで行うので、初診前に院内の雰囲気を確認できますし、講義をするのは診察でも顔を合わせる看護師なので、スタッフと事前にコミュニケーションをとっておくこともできます。
それは安心ですね。しかし、それでも当日、緊張してしまうという方もいらっしゃると思いますが……。
俵先生 当日は、いきなり診察するのではなく、「予診」といって、まず看護師が個室で患者さんとお話をします。
患者さんの情報を収集して、質問にもお答えする。
20 〜 30 分程度と結構長い時間をかけてお話しするので、診察室に来る頃には緊張がほぐれている方も多いですね。

生活環境を整えよう

初診はいざスタート、ということでまず検査が始まりますが、こちらのクリニックでは他に何か患者さんにされることはありますか。
俵先生 看護師がお話しする際、喫煙はされていないか、体重は適正かなど、患者さんの生活習慣も細かくチェックします。
もしタバコを吸っていたり、肥満ぎみの方だったら、初診時から指導が始まり、その後、専門の知識を持つ看護師がチームを作って改善できるようアドバイスを続けていきます。
病院に行って治療を受ければいい、という受け身の気持ちだけではなかなかよい結果は出せません。
初診はスタート地点。まず初めに、ご自身も一緒に頑張るという気持ちを持っていただくためにも必要なことだと思っています。

受診前に、特にして欲しい

なるほど。妊娠や検査についての勉強、日頃の生活習慣の見直し……。どれも準備として大切なことだということがわかりました!
俵先生 実はもう一つ、受診される前にしておいていただきたいことがあります。
それは、ご夫婦でよく話し合って、お互いの気持ちの確認をされておくこと。
心のスタートがずれたまま検査や治療を進めてしまうと、ご夫婦の関係がおかしくなってしまうこともあります。

事前にお二人で勉強会に参加するなど、知識や感覚の差をなくしておかれるといいと思いますね。

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