【Q&A】採卵のリスク~高橋敬一先生【医師監修】

ミッキーさん(38歳)

38歳 0妊0産 不妊期間3年 腹腔鏡歴3回 内膜症:20代前半 筋腫:30代前半 卵管留血腫:半年前内膜症のため20代前半より、様々なピルを内服していました
20代頃に就職していた病院で、婦人科の治療から現在の不妊治療まで通院しています
体外受精を始めて1年経過し、採卵にてなかなか卵が取れず、取れても2-3個、凍結できたのも1度1個のみです。治療開始後ようやく1年で1回移植しましたが、凍結胚移植に後は初回採血でHCG80で陽性、翌週採血にてHCG下降し陰性となりました
そとあと3回目の採卵にて2個取れましたが凍結できず。
通っているA先生には移植前に、採卵は何度でもできると言われ、B先生には1回陽性になったから妊娠できるよと言われ、移植後に診察していただいたC先生には、オペ歴3回、しかも骨盤内癒着もあり、採卵による腹膜炎などのリスクは高いため、よく考えて採卵を考えるようにと言われました。私と既往歴が似た患者さんが、10ー20年前に採卵後腹膜炎起こした症例もあり、私の体にかなり負担がかかっていることを認識するように、そして、誰かが言わないといけないからととても言いづらそうに養子縁組の話もされました。
不妊治療のために、3回目のオペを決意し卵管切除をしたのですが、やっとできた凍結胚移植の結果が陰性となり、厳しい話もされるようになりました。毎回言われることが変わり、なんのためにオペをしたのかと、悲しい気持ちになります。やはり3回目もオペをしていたら、安易に採卵をするべきではないのでしょうか?3回の採卵後とくに今までの感染は起こしておりません。しかし、腹腔鏡オペ後に、2回目創感染を起こしています。
採卵にてなかなか卵が取れず、凍結できる卵がやっと1個できるかの状態で、治療開始後まだ1度しか移植できてないため、やっと体外受精治療が始まったという気持ちです。 また採卵頑張りたいのですが、やはり採卵にはかなり慎重になったがよろしいのでしょうか?
先生のお考えをききたいです。
ちなみに、私が15年ほど勤めていた病院ですので、先生方は親身に治療をしてくださっています。なので、あえて厳しいことも説明しておくというスタンスの先生も (C先生)おられます。
なかなか結果がうまく行かず、そんなときに養子縁組の話もあり、精神的に落ち込みました。
主人はただリスクを説明されているだけではないのかな、ともし本当に私の身体で採卵が出来ないのであれば、採卵できないと言われるだろうと解釈しています。
私は、どんな治療行為にもリスクは付きものだから、本当にそのリスクがあって言われているのかなぁとも思いますが、受診の都度先生の説明に気分が変動して、自分の考えも分からなくなってきました。
とてもまとまりのない文章で、申し訳ないです。
まだ採卵できるのか、オペ歴がおおいと、やはり今後の治療を大幅に見直したほうがよいのか、アドバイスよろしくお願い致します。
重複するかもしれませんが、今までの治療結果です。
2022.5月 1回目の体外受精で受精せず
2022.10月 2回目の体外受精(顕微受精)で、1個のみ凍結保存
2023.1月 移植䛾成功率を上げるために、以前より指摘されていた卵管留血腫のオペをすること
2023.5月 顕微受精にて、2個取れるも胚盤胞までいくも凍結できず
内膜症10mm大が両側1個ずつあり、採卵?移植、採卵?採卵など次のステップまでにホルモン剤内服が必要な状態です
2回目の採卵は、pposにて治療しています
次回また採卵する場合は、pposと言われましたが、まだ決まっていません
長文失礼しました

高橋敬一先生にお伺いしました。

【医師監修】高橋ウイメンズクリニック 高橋 敬一 先生
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
ミッキーさん、腹腔内の癒着が著しく、医師により言っていることが異なっている事で混乱し、落ち込んでしまうのですね。
お辛いことと思います。
正解が何かはこの場ではわかるものではありませんが、考え方の一つとして提示したいと思います。
医師の言っていることは、記載されている文字だけからすると、必ずしも対立しているものではありません。
それぞれ、その医師の考え方からの正しい意見を言っているものです。
採卵は、胚移植の権利があるならば何度でもできます。
妊娠反応がでたことがあるので、妊娠する可能性はあります。
骨盤内癒着もあり、実際に採卵による腹膜炎の起こる可能性は通常よりも高くなるので、採卵は慎重にするべきなのです。
混乱はしますが、それぞれの医師は、間違った意見を言っているものではありません。
したがって、実際にはミッキーさんが、現時点ではどうしたいかによるのです。
現時点では、ミッキーさんは、まだ積極的に取り組みたいとのお考えのように思いますので、その視点でのアドバイスとなります。
AMHが低く、卵巣機能は低下しているものの、38歳であり体外受精の中では中間ぐらいの年齢です。
採卵ができるならば、まだ挑戦しても良いと思いますよ。
ただし、採卵のリスクは通常より高くなります。
慎重にするべきであり、消毒をしっかり、採卵は調などを傷つけないように慎重におこない、抗生物質は2剤併用、内服薬の抗生剤も多めに使用するなどの対策をしっかりとおこなってもらいましょう。
もっとも問題となる採卵数を増やすためには、DHEAsを測定して、DHEAは補充していますか?
ビタミンD、Cなどのサプリメント、亜鉛や銅、などの測定・補正などは受けていますでしょうか。
次に、現時点では胚の状況ほどは重要ではありませんが、子宮内の環境として、慢性子宮内膜炎のCD138や子宮内細菌(フローラ)の検査も受けておいた方が良いかもしれません。
胚盤胞までいかない場合には、初期胚で凍結して移植する、PPOS法以外で排卵誘発をして新鮮胚移植をするなどの方法もあり得ると思います。
ミッキーさんのお気持ちは、今の治療を大幅に見直す事ではないのでしょう。
基本的には、今の治療を進めて良いのではないでしょうか。
ただし、確かに採卵は慎重に取り組むべき状況です。
また、少しでも採卵数や胚の質が良くなる対策がまだ残っているならば、それらも積極的に試してみてはいかがでしょうか。
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