男性不妊、卵管障害を乗り越え

男性不妊、卵管障害を乗り越え、待望の妊娠

夫婦で不妊に向き合うこと。

協力し、前向きに取り組むことで 治療が楽しい思い出に変わりました。

まさか私たちが体外受精なんて…。

不妊の診断を受けてから、つらい治療も二人で乗り越えて きたナツコさん、アキトさんご夫婦(ともに仮名)。

待望のお子さんを授かった今、伝えたい思いがあります。

「 30 歳までに産めれば」 軽く考えていた結婚 2 年目

今回、二人揃ってインタ ビューに臨んでくれた、ナツ コさん( 31 歳)とアキトさん ( 28 歳)ご夫婦。

ナツコさん は現在妊娠 4 カ月、結婚 5 年 目で初めて授かったお子さん との生活が楽しみで仕方ない という二人です。

 
夫婦の出会いはナツコさんが 27 歳、アキトさんが 23 歳の 時でした。

「お互い別のグルー プで訪れた飲食店でたまたま 出会い、意気投合したんです。可愛くて優しい女性だなと 思って」とアキトさん。

そして、偶然の出会いから約 8 カ月で結婚と、トントン 拍子に進んでいったといいま す。

「漠然と『 30 歳までには 子どもを授かりたい』、と思っ ていたので、 27 歳で出会って
28 歳で結婚という選択は自然 な流れでした」。

ナツコさんのこの「 30 歳ま でには」という言葉には、理 由がありました。

「実は、私の 知人が体外受精で子どもを授 かったということに影響を受 けています。

その様子をそばで見ていたので、子どもは 30 歳 までには産みたいし、それに は結婚はできるだけ早いほう がいいと思っていたんです」。

子どもはなるべく早めに、と いう気持ちで結婚した二人で したが、意外にも結婚後の計 画は気ままでマイペースなも のだったといいます。

「知人の 子どもたちがとにかく可愛く て(笑)。

自分たちのことは棚 に上げて、そのうち授かるだろ うと軽く考えていましたね」。

そして結婚して 2年目に 入った頃に、不妊治療の先輩 でもある知人にすすめられたこともあり、「一応診てもらっ ておこうか」と夫婦で受診す ることに。

その結果、アキト さんの男性不妊が判明。

その うえ、ナツコさんにも卵管狭 窄と卵管癒着が見つかり、子 どもを授かるには体外受精し かないという診断を受けます。

協力して取り組むも成功せず 一度は治療を中断したことも

当初、不妊に対する知識は まったくなかったというア キトさんでしたが、男性不 妊という結果を知った時は、「ショックというよりも、じゃ あこれから何をすればいいの か?という気持ち」だった といいます。

それからは同じ 境遇の人のブログを読んだ り、クリニックの勉強会へ参加したりすることで知識を得 て、夫婦で不妊を乗り越える 決意をしていくのです。

実はこの時、まだ二人の頭 には、「不妊とはいえ、体外 受精を行えば、すぐに子ども は授かるだろう」という考え がありました。

「知人は移植1 回目で陽性、妊娠できまし たので、そういうものだと考 えていました。だから自分も1 回で授かれるだろう、と」。

しかし、初めての移植の結果 は陰性。その 2 カ月後に再度ト ライし、陽性反応が出ますが、8 週ほどで残念ながら流産し てしまいます。

「体外受精でも ダメなことってあるの? と、 本当に落ち込みました。

それ で、そこから 1 年ほど治療を お休みしたんです」。

もう一度チャレンジしてみようと思ったのは、ナツコさ んの職場が、時間の融通がき くようになったためです。

「治 療再開となると仕事を抜けな ければばらないことや、休ま せてもらうことも多くなりま す。

前回の結果のこともあっ て気後れしていたのですが、 環境が整ったことで勢いがつ いたというか、『チャレンジ するなら今だ!』と。

幸い、 女性が多い職場で、みんなが 応援してくれたのも後押しに なりました」。

再開後、最初の採卵ではグ レードの良い卵子が採れず、 血流が悪いことがうまくいか ない要因のひとつかもしれな い、という指摘を受けたハル ナさんは、血流アップのため に週 2 回のレーザー治療や、 鍼灸治療にも通います。

また、結果が思わしくなかった低刺 激法ではなく、高刺激法にシ フトして再度チャレンジをし たところ、トータル 4 回目の 移植で妊娠の判定が!

「今となってはなにが功を奏 したのかわかりませんが、そ の採卵の時はグレードの良い 卵子が採れたんです。

その時 のものを現在も 5 つほど凍結 しています。

これからもその 凍結した卵子を使ってチャレ ンジするつもりですが、まず は 1 人目を授かれたことに感 謝しながら、しっかり育てて いこうと思います」

不妊治療のスタートは 早ければ早いほどいい

終始前向きに、支え合いな がら治療に取り組んだ二人。

協力して取り組むも成功せず 一度は治療を中断したことも先の見えない不安に押しつぶ されそうになるたびに、話し 合い、協力して治療を楽しん できたのだそうです。

ナツコ さんはいいます。「もちろん 通院はつらかったですが、毎 回採卵のやり方を変えてい たこともあり、次はどうだろ う?うまくいくかな?と 結果を楽しみに待つ気持ちが 強かったです」。

今、二人がジネコ読者に伝 えたいこと。

それは「結婚半 年を過ぎても妊娠しなかった ら、とにかく早めにクリニッ クを受診してほしい」という ことです。

「何もしないまま いつの間にか時が過ぎてしま い、妊娠の機会を遅らせてし まう夫婦が少しでも減ってほ しいんです」とナツコさん。

このことは常日頃から、二人 の周囲の人たちにも伝えてい るそう。

また、男性不妊とい う結果を受け止めたアキトさ んからは、「男性も、自分に は関係ないと思ってはいけま せん。

それに、女性には妊娠 にタイムリミットがあるとい うことをもっと男性も知るべ きだと思います。

不妊につい て関心をもつ男性が増えるこ とを願っています」。

今は毎日、二人でお腹にドッ プラー心音計をあてて鼓動を 確認するのが日課だと、幸せ そうに語ってくれました。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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