治療歴5年目、39歳。
成熟卵が採れず、受精せず…。
相談内容や治療歴を見て、どのような印象をもたれましたか?
岡村先生●いろいろな排卵誘発法を試しているようですが、AMH値が低く、採れる卵子も少ないので、難治性不妊症だと思われます。通常、AMHの数値と卵巣への負担を考えると、低刺激で丹念に採卵する方法で進めていくことが望ましいのですが、1回に採れる数は少なく、採卵の回数が増えることで体への負担も大きくなるでしょう。
低刺激で結果が出ない場合、次に何を試してみればよいですか?
岡村先生●卵巣への負担が大きくなり、A M H 値がさらに下がるというデメリットはありますが、ショート法という選択肢もあります。今はまだ自然妊娠を目指したいという思いもあるとのことですが、子宮内膜症の再発や癒着、低AMH値、年齢的なこと、治療の長期化などを考えると、やはり自然妊娠にこだわるよりもARTに専念していただきたい段階ではあると思います。
ほかに何か試してみたほうがよいと思われる治療や検査はありますか?
岡村先生●顕微授精をしてもなかなか受精しないとのことなので、卵子活性化処理法(カルシウムイオノフォア)など顕微授精での受精率を上げる方法を考えてみてはいかがでしょう。また、精子データが記載されていないので詳細はわかりませんが、男性側因子をきちんと検査しているでしょうか?
もし、精索静脈瘤があった場合、手術をすれば大半の方が精子の数や運動率が改善されますし、精索静脈瘤による精子へのダメージが改善され、質向上につながる可能性もあります。卵子の質を改善する身近な方法としては、現在服用しているサプリのマルチビタミンと葉酸に、抗酸化を目的としたDHEAやL -カルニチンを加えたり、体づくりのための食事の見直しなどもぜひ行っていただきたいですね。
最後にアドバイスをお願いします。
岡村先生●子宮内膜症が再発しているとのことですが、まだ小さいようですし、頻回の手術は卵巣の働きに悪影響があるので、体外受精を優先するという方針はよいと思います。年齢的な焦りや、治療しても結果が出ないことへの不安、心配もあると思いますが、精神的に落ち込む時は一人で悩まずに主治医やクリニックのスタッフに相談しましょう。そして、サプリや男性側の確定診断など、できることはまだありますから、正確に情報を仕入れ、一つひとつ試していただきたいですね。