【Q&A】私は妊娠できるのでしょうか。~林直樹先生

ちゃどさん(29歳)

2022年に2回体外受精を行いましたが妊娠しませんでした。採卵2回しましたが、2回目で凍結保存できたのは2つです。
採卵時に䛿
点鼻薬が反応せず、卵子の成熟度が低いそうです。
また、子宮内フローラ検査の結果、良い菌が1.3%しかなく、抗菌薬を飲んでラクトフェリンサプリを続けました。
年末に2回目のフローラ検査をしましたが、結果良い菌は0%でした。その為また抗菌薬です。今通っているクリニックの先生は、恐らく次はフローラ検査はせず、現在凍結している受精卵で移植する予定をされています。
私は高校生で摂食障害になって生理がとまってしまい、それ以降自発的に生理はきていません。
生理が止まってしまってから最初の注射で生理をおこし、その後はずっとピルを飲んでいました。
不妊治療を始めたのは2021年からで、リセット時にのみピルを飲んでいます。質問
①子宮内の悪い菌は抗菌薬を飲んで消滅させれば今後出てこないのでしょうか? また、次回フローラ検査をせずに移植でいいのでしょうか?②生理をおこさなくて、ホルモンバランスや子宮の機能は落ちないのでしょうか?
2022年9月と12月に子宮内フローラ検査して、9月と12月に生理はきましたが、10月・11月・1月は生理がきていません。12月は1日中ナプキンを変えなくてもいいくらいの出血量でした。先生は、検査するし、移植前にはリセットするから大丈夫と言ってピルを処方しないので不安です。③子宮内に良い菌が少ない、排卵障害、卵子の成熟も低い……こんな私でも妊娠できるのでしょうか。
転院すればできるというものではないですが、2回採卵して3、4回移植しても妊娠しないのなら転院すべきでしょうか。
長々すみません。よろしくお願いいたします。

林先生に聞いてきました。

ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生
1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください 
まずご質問に対してお答えします。

① 子宮内の悪い菌は抗菌薬を飲んで消滅させれば今後出てこないのでしょうか?また次回フローラ検査をせずに移植でよいのでしょうか?

有害な菌はまた出てくる可能性は否定できません。

ラクトバシルス菌が0%というのでしたら、移植周期にラクトフェリンに加え、ラクトバシルス菌製剤の膣内挿入を試してみてもよいかもしれません。
月経終了したら連日、移植前日まで使用します。
ラクトフェリンサプリはラクトバシルス菌が存在して初めて有効と考えています。

また3回以上子宮内フローラ検査を行うことの意味はないと思います。

② 生理をおこさなくて、ホルモンバランスや子宮の機能はおちないのでしょうか?2022年9月と12月に子宮内フローラ検査をして、9月と12月に生理はきましたが、10月、11月、1月は生理がきていません。12月は1日中ナプキンを変えなくてもいいくらいの出血量でした。先生は、検査するし、移植前にはリセットするから大丈夫と言ってピルを処方しないので不安です。

排卵障害(月経周期異常)の原因が、以前の摂食障害の後遺症なのでしょうか。
もし低エストロゲン状態が続いているのであれば、確かにピルでリセットもできますが、カウフマン療法で繋ぐのがよいかもしれません。
低エストロゲン状態の放置持続は、膣内フローラひいては子宮内フローラの環境悪化の原因ともなります。

エストロゲン➡膣上皮細胞のグリコーゲン産生➡乳酸菌増殖の図式があります。

③ 子宮内に良い菌が少ない、排卵障害、卵子の成熟も低い・・・・こんな私でも妊娠できるのでしょうか。転院すればできるというものではないですが、2回採卵して3、4回移植しても妊娠しないのなら転院すべきでしょうか。

繰り返しになりますが、排卵障害は、以前の摂食障害の後遺症つまり視床下部性排卵障害でしょうか、あるいは多嚢胞性卵巣症候群ではないでしょうか。

AMHが9.34とかなり高値ですので、むしろ後者を示唆する値ですね。
あるいは多嚢胞性卵巣症候群の資質の方が摂食障害を既往にもっているということかもしれません。
もし前者であるとすれば下垂体の反応性が落ちているために、点鼻薬での採卵前トリガーは有効に働いていない可能性があります
hCG製剤単独でのトリガーもしくは点鼻薬との併用(ダブルトリガー)を試してみてもよいかもしれません。
ただ多発卵胞発育している場合に、hCGを使用する場合には卵巣過剰刺激症候群に注意し予防策を十分しておかなければなりません。
多嚢胞性卵巣症候群では、概ね点鼻薬単独で十分ですが、ときに成熟卵子が得られにくい場合があり、トリガー日の卵胞径を通常よりも大きめに設定するとうまく行く場合があります。
本当に体外受精でなければいけないのかということも考えてみる必要があります。
排卵誘発療法を適切に十分試してこられたでしょうか。
一度自然?妊娠歴(流産)があるようですので、体外受精以外の方法での妊娠も視野にいれるべきではないでしょうか。

まだお若いのでお子様ができるチャンスは十分にあるとおもいます

不妊治療が終了しても、まだ無月経が続くようでしたら、ピルではなくカウフマン療法や最低限のホルモン補充療法をおこなえばよいです。

多嚢胞性卵巣症候群であれば黄体ホルモン療法をおこなえばよいです。
これらは血栓症のリスクはほとんどありません。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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