【Q&A】異常受精について~高橋敬一先生

モンチッチさん(44歳)

異常受精とはなにか?
胚盤胞になる確率はあるのか。

高橋敬一先生にお伺いしました。

高橋ウイメンズクリニック 高橋 敬一 先生
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。
2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください 
正常な受精とは、ふりかけ法顕微授精で授精させた場合に、翌日には、前核という、精子と卵子の核が卵子中央にみられます。
精子と卵子の核が1個ずつ、2個認められる場合には2前核として、正常受精と判断されます。
この前核が、3個以上の場合には、核の過剰があり、異常受精と判断され、胚に染色体異常があると考えられています。
その理由としては、2匹以上の精子が卵子に進入した場合や、卵子自体に染色体異常があった場合が考えられます。
これらは分割が進むと胚盤胞になる事もありますが、一般的には妊娠せず(胚移植は通常おこないませんが)、妊娠しても流産すると考えられます。
異常受精でも胚盤胞になる可能性はありますが、3個以上の前核があった場合には、胚移植はしない事になっているので、異常前核を認めた時点で胚培養は中止して、その胚を除外することが多いと思います。
年齢が高くなると、卵子の染色体異常がおこりやすくなり、精子が1匹のみ進入しても異常受精がおこりやすくなります。44才という年齢は、卵子が5個とれても4個はすでに染色体異常の卵子である可能性が高く、受精しても異常受精がおこりやすいのです。
一方、前核が1個の場合には、正常染色体の可能性もあるとされており、胚盤胞になった場合には胚移植することも希にあります。
44才の方の場合、正常受精胚が、胚盤胞になる可能性は平均的におよそ5個に1個の割合になります。4個は分割がストップしてしまうことが多いのです。したがって、できるだけ多く採卵することも対策の一つになります。
胚盤胞になる確率を高める明確な方法はありませんが、少しでも早期に採卵する、たんぱく質をとる、運動をする、DHEA、ビタミン剤、抗酸化物質などを摂取する、などを心がけては如何でしょうか。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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