着床できるような胚にするにはどうしたらいいですか?

相談者 : まめさん(38歳)2年半前の検査でAMH は0.9ng/ml と低め。今までに体外受精1 回、顕微授精4回、胚移植を5回しました。毎回ショート法で5個前後採卵できるものの、胚盤胞になったのは1個のみ。着床は0回。子宮鏡検査やフローラ検査は異常なしですが、胚が着床できるようにするにはどうすればいいでしょうか? 子宮内膜が厚くならなかったことや、夫の喫煙は関係ありますか? 精子の運動率は悪くないのですが、「喫煙で精子のDNA が損傷する」というネット情報も気になっています。
福田ウイメンズクリニック 福田 勝 先生 順天堂大学医学部・同大学院修了。米国カリフォルニア大学産婦人科学教室留学後、順天堂大学医学部産婦人科学教室講師を経て、1993 年福田ウイメンズクリニック開院。2018 年10 月に、より最寄り駅に近く、広々とした場所にクリニックを移転しました。
まめさんのAMH0.9ngmlという数値は低めなのでしょうか。
福田先生●今、まめさんは38歳なので、2年半前というと年齢は35~36歳ですよね。そう考えると年齢のわりに0.9ng/mlは、低いと思います。ただし、このAMH 値からわかるのは、卵子の在庫数です。卵子の質が良いかは、この数値だけではわかりません。今まで胚盤胞になったのは1個だけ。
胚盤胞到達率を上げる方法がありましたらお教えください。
福田先生●採卵したものを胚盤胞まで育てるにはどうしたらいいかというと、良い顕微授精ができるかにかかっています。それには質の高い卵子と、状態の良い精子が必要になります。
 そうはいっても卵子の質の良し悪しは、移植前にはわかりません。薬や治療で卵子の質を劇的に上げることはできず、老化とともに少しずつ質は落ちていきます。ただ、卵子の質は、ホルモンバランスの影響を受けるため、規則正しい生活習慣、適度な運動、栄養バランスのとれた食事を心がけることで、卵子の老化スピードを緩やかにできるといわれています。
 あくまでも食事と生活習慣が基本ですが、そのうえでサプリメントを活用するのもいいでしょう。ミトコンドリアの活性成分が配合されているものや、還元型コエンザイムQ10配合のサプリメントは、老化の原因となる活性酸素から細胞を保護してくれる役割があります。また、ビタミンのサプリメントも有効です。なかでもビタミンE は、体内の老化を防ぐ抗酸化作用があり、ビタミンC には、ビタミンE の働きをサポートする役割があるため、一緒に飲むとより高い効果が期待できます。
良い顕微授精をするには、状態の良い精子が必要とのこと。精子と喫煙の関係を教えてください。
福田先生●喫煙と精子の関係は研究中です。禁煙したからといって精液検査の結果が良くなるとは限りません。ただ、喫煙はそれ以外にも健康に良くないので、妊活を機に禁煙してください。
そのほか妊娠成立に向けての対策やアドバイスはありますか。
福田先生●着床に問題がある場合も考えられます。今は着床に適した時期(窓)を厳密に調べるERA 検査というものがあります。さらに子宮内に着床を妨げる細菌がいる可能性があります。細菌の有無を確認するALICE 検査もあるので、タイミングをみてこの2つの検査を受けてみてくださいね。
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