保険診療に必要な治療 計画書ってどんなもの?

4 月から始まった不妊治療の保険適用。今まで治療してきた方の中には、進め方が違う、使う薬が変わったなどで戸惑いや不安を感じている方も多いようです。そこで今回は「パートナーが常に治療に同席しないとダメ?」、「治療の最初に持っていくべき書類は?」など、治療の最初に感じることの多い疑問について佐藤雄一先生に教えてもらいました。

高崎ARTクリニック 佐藤 雄一 先生 医学博士・産婦人科専門医・日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医・日本生殖医学会生殖医療専門医。2018年、体づくりができるフィーカレディースクリニック(東京・日本橋)を開院。佐藤病院院長、高崎ARTクリニック・フィーカレディースクリニック理事長を務める。専門分野だけでなく、栄養学や抗加齢医学などの知識も深く、患者さんにも積極的に生活習慣の改善を指導。

ドクターアドバイス

• 治療計画は各治療のスタート時に立てる
• 事実婚は戸籍謄本などが必要な場合も
• 受診や説明は可能な限り二人一緒に
• 原則として一般不妊治療からスタート

治療計画はいつ立てるものですか?

各治療をスタートする時に立てます。
 保険診療では、治療の初めに治療計画書を医師が作成します。その内容を患者さんに説明し、同意を得た後に治療は始まります。
 計画を作成する回数は、治療内容によって多少異なります。タイミング法や人工授精などの「一般不妊治療」については、治療の内容が月ごとに大きく変わらないという理由から、3 カ月に1 度治療計画を作成することになります。一方で、「高度生殖補助医療」にあたる体外受精や顕微授精については、その周期ごとに排卵誘発法、採卵日、凍結するかしないか、移植の方法などの計画を立てて治療を進めます。治療の説明は、原則としてカップルで一緒に聞いて確認することになっています。
 また、2022 年4 月以降は保険診療と、PGT-Aなど保険適用外の診療を一緒に受けることはできません。ただ、いろいろな選択肢はあると思うので、どういった方法をとるのがいいかは、医師に相談してみてください。

保険診療を受ける際に必要な書類は?

法律婚、事実婚によって異なります。
 保険診療を受ける際には、医療機関側が患者さんカップルの婚姻関係を確認することが必要になります。確認方法は、口頭や書面など医療機関によって異なります。また、法律婚か事実婚かによっても、確認方法や必要な書類が違ってきます。そのため、前もって各医療機関に必要な書類などを確認しておくといいでしょう。
 ちなみに当院の場合ですが、法律婚のカップルであれば特に書類は必要ありません。事実婚の場合は、現在、同居しているかを確認できる書類として、それぞれの戸籍謄本または戸籍抄本と、住民票の提出をお願いしています。
 さらに何よりも優先すべきことは、授かったお子さんの将来の幸せにあります。不妊治療によって妊娠、出産した赤ちゃんを養育していく気持ちがあるかを確認するために、当院では認知意向の誓約書の提出もお願いしています。

説明はカップルで聞くべきですか?

基本は二人で。難しい場合は相談を。
 不妊治療は、二人で取り組んでいくものです。そのために男性の協力が不可欠となります。最初の治療計画の説明や各種検査などの説明については、二人で聞くようにすることが、治療をスムーズに進める第一歩といえます。一緒に受診することで、不妊治療についての知識が自然と身につくため、治療に対して受け身だったパートナーが、積極的になったという事例もあります。
 ただ、諸々のご事情によっては、仕事を休むことが難しいパートナーの方もいるでしょう。また、将来の養育費に備えるために、今の仕事を続けていくことは大切だともいえます。そういった現実をふまえ、原則は治療計画を立て直すたびに二人の同意を得ることが基本となっています。どちらかが来院できない場合は、治療計画への同意を医療機関が確認できれば、進められるようになっています。確認方法は医療機関によって違うので、お気軽に相談してみてください。

治療計画はどうやって決まりますか?

年齢や既往症、治療歴などで決定。
 治療計画は、患者さんの希望、年齢や今までの治療歴などを総合的に考え、医療機関が作成し、患者さんに提案します。
 原則として保険診療では、一般不妊治療を受け、結果が芳しくない場合に体外受精顕微授精などへステップアップする流れになります。たとえば結婚して間もない25 歳の女性が「体外受精がしたい」といっても、一般不妊治療で妊娠する可能性があるため、体外受精はできません。
 ただ、年齢が39 歳で、結婚後半年の間、妊活したが妊娠できない方には、年齢的なことなどをふまえ、最初から体外受精を前提に治療計画を作成する場合はあります。
 また、治療計画書が診療のたびに必要かどうかは、医療機関によって違います。当院の治療計画書は、スケジュール表も兼ねています。診療のたびにお持ちになったほうが、次の来院日や治療内容が、その場で確認できるので便利です。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。