【Q&A】ホルモン補充周期の移植について~中村 嘉宏 先生

移植後、流産を経験した後、再び同じ方法で移植に臨んでよいものか、悩みますよね。

なかむらレディースクリニックの中村嘉宏先生に医師の立場から教えていただきました。

なかむらレディースクリニック 中村 嘉宏 先生 大阪市立大学医学部卒業。同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
nicoさん(39歳) タイミング法、AIH顕微授精と段階を踏み、1回目は採卵で4個の初期胚を凍結。
1回目の移植は自然周期、2回目の移植はホルモン補充周期(プレマリン、ジュリナ服用)、
3回目の受精卵2個を自然周期でレトロゾールを服用し妊娠したものの、8週で流産しました。
その後、採卵からスタートして初期胚4個と胚盤胞2個を凍結し、移植周期に入りました。
「自然周期で行きましょう」と言われたのですが、仕事を始めていたためホルモン補充周期でお願いしました。
前回同様、プレマリンとレトロゾール服用をしていましたが、移植前の診察で排卵してしまっていました。移植中止です。
そして、今周期も同じ薬で同じ量での移植周期。
前回のことがあるのでまた排卵してしまわないか心配で排卵検査薬をしてみると、うっすら二本線・・・
次の日の前日よりも薄い二本線でした。
1度目は薬の効果があり排卵しなかったですが、2度目で排卵してしまったのは流産した事によって子宮の何かが変わってしまったなどがあるのでしょうか?
3度目の今回、排卵検査薬が反応しているのは排卵する可能性が高いということでしょうか?
年齢的にも1周期が大切な䛾で、今周期どうにか移植まで辿り着きたいです。

ホルモン補充周期で排卵をされ、今回も同じ方法で恐らく切り替え前に排卵しそうな状況になっています。

流産という辛い体験もされていろいろ悩まれ、少し混乱されている印象です。

まず、自然周期ですが、ホルモンの使用量が少なくなるという点ではすごく簡便でいい方法です。ただ、いつ排卵するかわからないのでいつでも通院できる環境が必要です。仕事をされているnikoさんの場合は不向きでしょう。ホルモン補充周期はホルモンの使用量が多くなるという欠点がありますが、比較的計画が立てやすいのでホルモン補充周期でいいと思います。

妊娠率については、どちらの方法でも同等です。

移植前に排卵した場合は、次の周期では薬を変える方がいいと思います。今回も排卵の可能性が高いと思います。

プレマリンとジュリナを使用されていますが、使用量がわからないのでなんともいいようがないのですが、一般には、エストロゲン量をあげると排卵の確率は低下します。

当院ではプレマリンやジュリナで排卵した場合は、エストラーナテープを併用したりしています。それでも排卵する場合は、前周期高温期からGnRHaアゴニスト(スプレキュア)を併用してホルモン補充療法を行います。

スプレキュアは、排卵のシグナルとなるLHの分泌を抑制する働きがあるので、ここまですればまず排卵による移植のキャンセルは無くなると思います。

流産のことも気にされていますが、流産がその後、子宮や排卵に影響を与えることはありません。

2回目の採卵では、初期胚4個、胚盤胞2個凍結できているので、状況としては悪くないと思います。

 

繰り返しになりますが、nikoさんのように仕事で都合つきにくい場合はホルモン補充療法を選択してください。そして、確実に移植するために前周期高温期からGnRHaアゴニスト(スプレキュア)を併用し、エストラーナテープ、ジュリナも多めに投与して内膜を調整することをお勧めいたします。

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