前回は、自然妊娠出来たのに…二人目不妊の方にはそんな方も多い言うです。

特に決定的な原因も見つからなかったり…

どう考えたらいいのでしょうか?

政井先生にお聞きしました。

政井 哲兵 先生 鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院、日本赤十字医 療センター、佐久市立国保浅間総合病院、高崎ARTクリニック 勤務を経て、2014年に佐久平エンゼルクリニックを開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ことりさん(31歳)

1人目を自然妊娠で出産。その後2人目妊活を始めたのですが上手くいかず1年半になります。
クリニックに通い始め、検査も行い、プロゲステロン値が9程度と少し低めの黄体機能不全疑いでした。
あとは左に子宮嚢腫3cmのものがあると言われています。
主人の精液検査もしましたがそちらは異常ありませんでした。
前職でのストレスもあり転職し、先月より妊活を再開しています。
クリニックは一旦お休みしていて、不妊鍼灸に1年ほど通っています。
高温期もあまり安定せずガタガタ、10日も維持せずリセットしてしまうこともあります。
このような状態で自然妊娠は望めるのでしょうか?
産後体重が上手く戻らず、それも原因なのでしょうか?
通院を再開して早めの治療を開始した方が良いのでしょうか?
目立った問題がなく、人工授精よりも体外受精を前回のクリニックでは勧められましたが、近くに体外受精をしている病院は無いので迷っています。

ご質問者様の年齢を考えると、十分2人目妊娠可能だと思います。
(男性因子もなく、一人目も自然妊娠されていることを考えると十分可能性はあると思います)
ただし、これまでの妊娠を希望されてからの期間がそれなりにある(1年半)ことや、結果をできるだけ早く出すことを考えるなら、ある程度腰を据えてしっかり治療に取り組んだ方がよいかと思います。
ご質問者様の状況を考えると、わたくしでしたらまずはいきなり体外受精でなくて、タイミング法からのスタートでもよいかと思います。

タイミング法を行うにあたって
1,排卵誘発剤(クロミフェン、またはレトロゾール)を使ってみる
2,性交回数をできるだけ増やす

の2点を勧めます。
黄体ホルモン値9ぐらいの黄体機能不全ということですが、測定値はその時々の体調や排卵の状態でも変わりますし、前後することもあるので、さほど神経質にならなくてもよいと思います。

(当院でも黄体機能不全を気にされる方は多いですが、このようにお伝えしています)

黄体ホルモン値は排卵後に形成される黄体から出るホルモンなので、黄体形成が十分できていない=排卵がよい排卵ではなかったことが原因になる場合が結構あり、当院では黄体ホルモンを補充することよりも排卵そのものの質を上げることを考えています。
(良い排卵をすると自ずと黄体ホルモン値も高くなります。そうすると高温期もある程度しっかり維持されるようになります)
排卵の質が悪い原因の一つにストレスも関係しているかもしれません。
(ストレス要因はいろいろあるかもしれませんが、一人目の妊娠時と違い、仕事のストレス、育児のストレスなど様々かと思います)

月経痛が重い原因としては、子宮内膜症の有無など別の要因も考えられるかもしれません。(左側3cmの子宮嚢腫?と指摘されているものが、仮に3cmのチョコレート嚢腫というタイプの卵巣嚢腫であれば子宮内膜症が強い月経痛の原因である可能性が高くなります)

もしこれまでにAMHを測定していなければ、まず最初にAMHを測定してみて自分の卵子がどのくらい残っているかを確認してみるのはオススメです。残存卵子数が少ない状況があれば、前医の先生が勧めるようにたしかに体外受精を検討した方がよいという状況もあります。

残存卵子数がそれなりに保たれているようでしたら、上記で述べたように排卵の状況を良くするようなことを考えて排卵誘発剤を併用してのタイミング法(タイミングの回数を増やす)などで取り敢えず始めてみるという考え方も悪くないと思います。

いずれにしても、自己妊活でなかなかうまくいかない状況が続いているとは思いますので、クリニックへの受診は考えてみてもよいと思います。その際にAMH検査を希望してみる、その結果をみてタイミング法などの一般治療をもう少し続けてみる(その際は可能なら排卵誘発剤を併用して排卵の状態をよくしながら妊娠のチャンスを増やすようにタイミングの回数を増やしてみる)、逆にAMHの値が低い(残存卵子数が少なくなっている)などがあれば、早めに体外受精も視野に準備を進めるという方針がよいのではないかと思います。

(特に子宮嚢腫?と指摘されているものが、実際は卵巣にできたチョコレート嚢腫というタイプの子宮内膜症であれば、強い月経痛の原因やAMH低下の原因にもなりますので、できれば早め早めに進めていくというのがよろしいかと思います)
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。