Q 拒食症の経験があり治療中。 9日間続く出血は、生理?

内田昭弘 先生 島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員として、 1987年、島根県の体外受精による初の赤ちゃん誕生に携わる。 1997 年に内田クリニック開業。生殖医療中心の婦人科、奥様が 副院長を務める内科、大阪より月1回来院の荒木先生による心理カ ウンセリングとサポート体制が充実している。

ドクターアドバイス

●9日間続く出血は不正出血の可能性も。専門医の診察や処方を!
●妊娠を目指すのであれば、不妊専門の医療機関で受診を。
アーモンドさん(26歳)からの相談 Q.20歳の頃、半年で51㎏から32㎏(身長160㎝)まで体 重を落とし拒食症になり、約2年半、生理が止まりました。そ の後、24歳で結婚。子どもを授かりたいと思い体重を増やし、 55㎏あたりで生理が戻りました。でも、2カ月に1回と不順 で、毎月、薬で生理を起こし、薬と注射で排卵を誘発。反応 がなく、3カ月で治療をやめようと思った時に1人目を自然妊 娠しました。それから1年、2人目を希望して産婦人科に行っ たところ、「自然に生理がくるのはまだかかりそう」と言われク ロミフェンを飲み、注射をした3日後に普通の生理のような赤 い出血があり、4、5日目くらいの量ですが、9日目の今日も 終わりません。いつもは6日で終わるので、少し心配です。

拒食症や急激なダイエットは、なぜ生 理を止めてしまうのでしょうか?

内田先生 生理が始まるということは、女性が妊娠してもいいという準備で、妊娠・出産・育児に耐えられる体格がないと始まりません。今は 9 歳から 10 歳く らいで始まり、その体重の目安が約 40 ㎏ です。アーモンドさんは体重が 32 ㎏まで 減って生理がこなくなったということですが、これは体重減少性無月経といい、体に「妊娠してはいけないよ」という自己防御が働くんですね。卵子を育て排卵をして、妊娠しなければ生理がくるという流れを自身の体が止めている。原始的ですが、体を守るために起きる現象です。

アーモンドさんは、 9 日も生理が続い ているようです。

内田先生 薬や注射を使うタイミングが体のサイクルと合っていなかったかもしれないですね。薬の内容はわかりませんが、通常クロミフェンを使い注射をした3 日目に生理がくることはなく、正しい生理の出血だったら 1 週間以上は続きません。 9 日間も続いているので、僕は不正出血と推測します。自然に止まると思いますが、卵子もうまく育っていないでしょうし、問題がないか診てもらい、必要な薬は使ってもらうといいでしょう。

生理を安定させるには、どのような治 療がどれくらいの期間、必要でしょうか。

内田先生 妊娠を目指すのであれば、 3カ月は排卵誘発剤を使い、それが効果的に働いているかどうか、きちんと判断してもらうことが必要です。薬を使っている間は自分の体の機能が休み、薬を使わなくなったら再び頑張る。これはリバウンドという捉え方で、 3 カ月後に排卵が再開すれば、効果があったと考えます。

お子さまを授かるために、今後どのよ うな治療が望ましいでしょうか?

内田先生  3 カ月はまったく反応がなかったということですが、効かない薬を続けていてもしかたがないので、何かを変えてみることが望ましいでしょう。有効な排卵誘発剤を使い、しっかりとした排卵を目指しましょう。若いので、治療したり休んだりで、いいと思います。また、基礎体温表から排卵誘発剤や注射が有効か、出血が生理か不正出血なのかもわかりますので、つけてみてはどうでしょうか。

低体重で生理が止まってしまった悩み をもつ方へのメッセージをお願いします。

内田先生 専門の医師によると、精神的な原因がある拒食症による体重減少性無月経は、拒食症を改善していくと生理も戻るといいます。でも、僕の立場から言えば、妊娠を目指していて生理が戻らない場合は、ご主人ともよく話し合い、きちんとした不妊専門の医療機関に相談することをおすすめします。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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