自然妊娠、凍結胚盤胞移植、新たな採卵、第2子治療でのベストな選択は?
卵管が1つしかない、39歳という条件を考えた場合、自然な形で第2子を妊娠するのは難しいのでしょうか。
第1子の治療時に凍結した胚盤胞を移植するという選択肢もある場合、どのような形で進めていったらいいのか、臼井医院 婦人科 リプロダクション外来の臼井彰先生にアドバイスをいただきました。
卵管が1つだと排卵の確率は1/2に
子宮外妊娠で左側の卵管を切除しているということですね。通常は左右の卵巣から交互に排卵しますが、はるさんは卵管が片側だけなので、タイミングとしては2カ月に1回。正常な場合と比べて確率は半分になってしまいます。年齢が若い方ならしばらく一般不妊治療で試してもいいかもしれませんが、残りの時間が少ない39 歳だと難しい選択だと思いますね。
結婚歴が10年で、その間、ずっと妊活をされていたかどうかわかりませんが、おそらく不妊歴が長く、人工授精にも12回トライされたとのこと。卵管の問題を含め、これらの条件から考えると自然妊娠の確率はかなり低いのではないでしょうか。
まずは今ある凍結胚盤胞の移植を
当院であれば、まずは今ある凍結胚盤胞を移植することをおすすめすると思います。「2年前の胚盤胞を今移植して大丈夫なのか」とご心配のようですが、まったく問題はありません。
リスクといえば融解した時に胚がダメになってしまうことがありますが、それは本当にまれなこと。受精卵の質という点で考えれば、今凍結してある胚盤胞は2歳若い時のものですから、これから採る卵子より妊娠が期待できるといえるでしょう。
多胎についてのご心配ですが、確かに胚盤胞移植で一卵性の双子になる方はいらっしゃいます。1個移植で5%くらいの確率でしょうか。子宮内膜の状態にもよりますが、4BBの胚盤胞だと妊娠率は40~50%程度。双子になる確率はそのうちの5%。トータルで2.5%ほどなので高い確率ではありません。このことに関してはあまり心配される必要はないと思いますね。
新たな採卵については、凍結している胚盤胞2個を移植して結果が出なかったら考えられてもいいのではないでしょうか。
少しでも若い時の受精卵を貯めておく
2人目不妊で悩む方は意外と多く、当院では初診の3割くらいが2人目のお子さんを望まれる方。1人目を産んで時間が経つと、加齢やお体の状態が変化してなかなか妊娠に至れないことがあります。
第1子を不妊治療で妊娠・出した時点で次のお子さんも計画されている場合、良い胚盤胞ができていたら凍結しておいたほうがいいかもしれません。なるべく若い時の胚のほうが妊娠率が高いのは確か。当院でもその形で第2子を妊娠される方が多くいらっしゃいます。
2人目不妊って助成金の対象になる?
2021年1月から不妊治療費用の助成が拡充され、2人目の不妊治療にも助成金が受けられるようになりました。これまでは生涯で通算6回まで(40歳以上43歳未満は3回)だったのが、1子ごと6回まで(40歳以上43歳未満は1子ごと3回)に変更。所得制限の撤廃や助成額も増え(1回15万円→1回30万円)、2人目不妊の方も治療を受けやすくなったのですね。ただし自治体によって助成金制度の内容が異なるので、自分が住む自治体のホームページ等でチェックしておくことが必要。また、これらは2022年3月までの暫定措置となっています。