うめだファティリティークリニック 山下能毅先生のオンライン質問会

妊活を始めたばかりの方から、体外受精の方のセカンドオピニオンまで、幅広い質問にわかりやすく答えてくださった山下先生。ブレイクタイムでは山下先生が注目するサプリメントのお話も。追加でチャットに寄せられた質問にも丁寧に説明いただき、最後まで内容盛りだくさんの質問会になりました。

うめだファティリティークリニック●山下 能毅 先生 大阪医科大学医学部を卒業後、北摂総合病院産婦人科部長・大阪医科大学産婦人科病棟医長、医局長、講師として、不妊治療や腹腔鏡手術に積極的に取り組む。2014年、宮崎レディースクリニックの副院長に就任し、2017年4月、同院の院長に。

受精卵へのタバコの影響について

44歳で胚盤胞1個を移植しましたが陰性。主人は51歳で電子タバコを吸います。精液検査では濃度も濃く、運動率も良いです。卵子の質の問題もあるかと思いますが、受精卵にタバコの影響はありますか。
司会●男性の喫煙は、受精卵の質に影響しますか。
山下先生●精液所見は良いとのことですが、あくまでも精子の数と運動性だけの問題です。電子タバコの長期的な影響はわかっていませんが、精巣機能の低下をまねくニコチンは含まれています。もともとタバコは精子のDNA を損傷するといわれており、精子の数や運動性、形状に問題はなくても、一個ずつの精子の質は低下し、受精卵の質に影響することが考えられます。
 女性も40歳を超えると卵巣機能や卵子の質は低下します。そのうえに、タバコが原因で精子の質が悪いと、染色体異常の確率はさらに高くなります。二人三脚で妊活をされるのであれば、男性も電子タバコだからと安心せずに、タバコを控えて少しでも精子の質を上げる努力が必要です。最近は、受精卵の染色体異常を調べる着床前胚染色体異数性検査(PGT ―A)もできますので、併用しながら妊娠をめざされてはいかがでしょうか。
司会●喫煙する男性の意識は変えられますか。
山下先生●当院の外来では、タイムラプスで撮影した受精卵の成長過程をご夫婦に見ていただくことができます。男性も自分の精子の状態を目の当たりにすると、生活習慣を改善する方向に意識が変化していく印象があります。「タバコを控えて」「生活習慣を変えて」というよりは、まずは女性が男性をクリニックに連れてきて、ご自分がどういう治療をしているのかを、見せてあげることも一つだと思います。

チョコレート囊胞があっても妊娠できる?

28歳です。4カ月前に妊活を始めましたが、子宮の右側に1.5cmのチョコレート囊胞があります。囊胞は小さくても妊娠の確率は下がりますか? 排卵検査薬でタイミングをとっていますが、まだ授かれなくて不安です。
司会●チョコレート囊胞と妊娠との関係について教えてください。
山下先生●子宮内膜症によるチョコレート囊胞は、めずらしい疾患ではありません。1.5cmの大きさは初期の状態です。これが5cm以上の大きさになったり、囊胞は小さくても月経痛や骨盤痛などの症状を伴っていれば、まずは子宮内膜症の治療をおすすめします。
 この方は年齢が若く症状はなさそうですので、妊娠を優先されるといいでしょう。チョコレート囊胞だけが不妊原因ではないと思いますので、一般不妊検査で卵管や排卵の状態など、ほかの不妊因子をきちんと調べられたほうがいいですね。
司会●やはり検査を受けることが大事なんですね。
山下先生●軽度の子宮内膜症でも、骨盤の中に癒着があったり、卵管に問題が隠れていることもあります。少なくとも子宮卵管造影検査で卵管の状態をみておくといいと思います。排卵検査薬でタイミングをとっておられるので、排卵の状態は良いのかもしれません。また、精子の状態が悪くても妊娠は難しくなります。男性は精液検査を受けましょう。
 チョコレート囊胞でも、特に手術をおすすめするのは5cm以上の大きさで、年齢が高い方の場合です。子宮内膜症は良性の病気といわれていますが、40 歳以上の方で囊胞の大きさが6cmを超えるとがん化率は0.7%に上がります。不妊治療をされなくても、子宮内膜症のある方は定期的な検査で、囊胞の大きさをチェックすることが大切です。

子宮内膜を厚くするために、できることは?

35歳です。人工授精でフェマーラⓇを使用し、19日目で子宮内膜が4mmしかありませんでした。現在、体外受精に移行しましたが、月経3日目は3.2mmです。内膜を厚くするためにできることはありますか?
司会●子宮内膜が薄いと妊娠しにくいのでしょうか。
山下先生●一般的には、子宮内膜が7 〜8mm以上あるのが理想とされています。ただ、子宮内膜は厚さだけでなく、構造も大事です。超音波検査では子宮内膜が厚く、断面が「木の葉」のような構造かどうかも確認します。フェマーラⓇでも子宮内膜が厚くならない方は、ビタミンEのお薬を服用されるなど、工夫しながら治療されるといいですね。
司会●体外受精の場合も同じでしょうか。
山下先生●体外受精では着床しやすい環境を整えるために、子宮内膜を厚くする黄体ホルモン補充を行います。担当の先生も子宮内膜を厚くする工夫をされると思います。月経3 日目の値は気にされず、10 日目以降の子宮内膜の変化を見ていかれたほうがいいと思います。
 それでも内膜が厚くなりにくい場合は、子宮内に有効成分を注入する治療法や薬の服用があります。最近注目されているのが、自分の血小板を子宮内に注入し、子宮内膜を再生する「PRP療法」。ただし、治療が受けられるのは、再生医療ができる認可施設のみです。また抗がん剤治療などで白血球数が低下している方に、数値改善のために使われる「G-CSF」(顆粒球コロニー刺激因子)製剤という薬を子宮内に注入する方法もあります。
 一般不妊治療とは異なり、体外受精では内膜の厚さが重要です。内膜を厚くする方法はほかにもたくさんあります。ぜひ担当の先生に相談されるといいと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。