第2子の不妊治療は 46 歳までと期限を設けてトライ

第2子の不妊治療は46歳までと期限を設けてトライ妊活が人生を豊かにする第一歩に。夫婦の関係も再構築できました。女優の加藤貴子さんは、3度の流産など壮絶な経験を乗り越えて44歳で第1子を出産しました。
前編ではその時の状況や思いを中心にお聞きしましたが、後編では、45歳からトライした第2子の不妊治療から出産までのお話を伺いました。

女優 加藤貴子さん  1970年静岡県生まれ。95年より女優として活動。以後、TBS系ドラマ『温泉へ行こう』シリーズの主演をはじめ、同局系ドラマ『花より男子』『南極大陸』、テレビ朝日系ドラマ『科捜研の女』シリーズなど多数出演。2013年10月、一般男性と結婚。14年11月に第1子、17年8月に第2子を出産。著書『大人の授かりBOOK』が好評発売中。

45歳から第2子妊活スタート

42歳で不妊治療を開始し、44歳で第1子を出産した女優の加藤貴子さん。その間に男性不妊、3度の流産、不育症などを経験しています。また、出産後もなかなか母乳が出ないなど、苦労を味わっています。にもかかわらず、貴子さんは第1子のサク君が1歳3カ月で授乳を終えたタイミングで、第2子の妊活をスタートさせました。

「サクの時が大変な不妊治療だったので、それを知る家族や友人は誰も賛成してくれませんでした」

それでも第2子がどうしても欲しい理由が貴子さんと夫・ノビさんにはありました。

「妊娠当初、サクは双子だったんです。でも、もう一人が育たなくなり、いつしかいなくなっていて。その子のお陰でサクが無事に生まれてきてくれた。だからもう一度、その子に会いたかった。それと私たち夫婦が高齢なため、将来、サクを1人にしたくなかったというのもありました」

2人目の不妊治療では、前回と大きく異なるのは家事、仕事にサク君の育児が加わったことでした。

「1人目の時は、健康な体は妊娠しやすくなるとドクターから聞いたので、ウォーキングをしたり、食事もなるべく自炊し、栄養バランスに気を配りました。特に血糖値を急激に上げることは採卵数の減少にもつながるため、糖質を吸収しすぎない食事のとり方を心がけました。2人目の時も同じようにしたかったのですが、育児が思いのほか大変だったので、妊娠前後に必要不可欠な栄養素はサプリメントなどで補うようにしました」

46歳の誕生日が妊活リミットだったけれど

それでもなかなか授かることができませんでした。採卵3回、合計6回の移植にトライしましたが、着床にもいたらないまま、46歳の誕生日を迎えました。

「子どもが学生生活を終えて自立するまでは見守りたいと考え、それは私が70歳までと設定したのです。そうすると今回の妊活は46歳までかなと。実際、妊娠するためにやれるだけのことはすべてやりましたし、お金もかかったのでその分働きました(笑)。さすがに精神的にも体力的にも、何より金銭的にも限界だなと感じていました」

そんな貴子さんに看護師長が声をかけてくれました。「もう1回だけトライしてみませんか」と。ちょうど年末年始で仕事も休みに入るタイミングだったら、ストレスもいつもより少ないはず、だからうまくいく確率も高くなると話してくれたそうです。

「私の治療に寄り添ってくれた師長の言葉だったので、ラスト1回トライしたところ、何と着床したのです!」

全前置胎盤を乗り越えひと月早く出産

第2子を授かったものの、試練は続きます。妊娠6カ月で全前置胎盤と診断されたのです。これは子宮口のほとんどを胎盤が覆っている状態で、突然大出血してしまう可能性が高いといわれています。

「即管理入院が必要と言われたのですが、まだ幼いサクのためにもそばに居てあげたくて、出血をしたら即入院を条件に、自宅で安静とさせてもらいました」

幸い34週まで出血することもなく、予定日よりひと月早く、帝王切開で男の子を出産しました。

「非常にリスクの高い手術というのは前もって聞いていたのですが、緊急時に備えて何人ものドクターやスタッフが待機してくれていたことを後で知りました。本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。年齢も46歳10カ月で、私にはギリギリのチャレンジでした」

不妊治療の協力者は子育ても助けてくれる

現在、サク君は6歳、次男のアン君は3歳。2人ともすくすくと元気に育っています。

「正直、子育てがこんなに大変だとは思いませんでした。まず体力的にしんどい(笑)。腱鞘炎やぎっくり腰も経験しました」と貴子さん。それでもやはり2人の子どもを産んで良かったと断言します。

「2人の子どもを授かるまで本当に長かった。何度も心が折れたし、つらいことも多かった。でも、妊活期間があったから主人ともいろいろ話すことができたし、また助けてももらえた。それによって絆もより深まった気がします。改めて人生を共全前置胎盤を乗り越えひと月早く出産に生きていくということ、親になる覚悟とかを含めて夫婦の関係を再構築できました」

不妊治療を通してさまざまな人たちと出会えたことも貴子さんは良かったと実感しています。

「ドクターや看護師さんだけでなく、第2子の出産に反対だった周りの人たちも私の思いを知ってからはものすごく応援してくれた。優しく温かい眼差しで見守り、手を差し伸べてくれました。子宝だけでなく、これからの人生に大切な宝物も授かることができました」

こうした経験を踏まえて貴子さんが今、不妊治療をしている人たちに言いたいのは、「まず一人で頑張らないでほしい。不妊治療は頑張ったからといって結果が出るものではありません。だから、うまくいかないからといって自分で自分を裁かないようにもしてほしいです」とのこと。そのためにも、甘え上手になることも必要と言います。

「主人は妊活に協力してくれ、子育てにも積極的です。夫に限らず不妊治療に協力してくれた人はたいてい子育てでも応援してくれます。なるべく周りの人とのコミュニケーションをとり、協力者を作っておくことをおすすめします」

そして、妊活中はさまざまな情報に翻弄されがちですが、それらに惑わされないことも大切だと貴子さんは教えてくれました。

「食事、サプリ、漢方、運動など不妊治療に関する情報は本当に数多くあり、どれが正解かもわかりません。私は、情報は引き算、ととらえ、自分に合ったものだけ試し、合わないものはやらなかった。それでいいと思います」

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