今の平均結婚年齢から考えると、30 代で不妊治療をはじ める人がもっとも多いのでは?  まだ妊娠のチャンスが ある年代ですが30 代前半と後半では妊娠率に差があり、 検査を受けるタイミングや治療のスピード感が異なって きま。望ましい進め方につい、ファティリティクリ ニック東京の小田原靖先生にお話を伺いました。

京 小田 靖  先生 東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987 年、オーストラ リア・ロイヤルウイメンズホスピタルに留学し、チーム医療などを学 ぶ。東京慈恵会医科大学産婦人科助手、スズキ病院科長を経て、 1996 年恵比寿に開院。

 

ドクターアドバイス

38歳を超える年齢なら検査はすぐに。治療も早めに進めていきます

 

検査はどんなタイミングで受けたらいいのでしょうか

みなさんご存じのように、年齢が上がってくると妊孕率が下がってきます。「妊活をはじめて1年間妊娠しなかったら、不妊症だと思って病院へ行ったほうがいい」といわれていた時代もありましたが、今はそれだと遅いという考え方もあります。

30代前半の方の場合は、3、4カ月程度は自己タイミングにトライしてみて妊娠に至らなかったら、原因を探るために病院で検査を受けるのが望ましいでしょう。38歳以上であれば不妊期間が長くなくてもスクリーニング検査を受けて、体のいろいろな状態を早めに評価することが必要なのではないでしょうか。

年齢を重ね、月経の累積数が増えてくると子宮内膜症子宮筋腫子宮腺筋症など、婦人科系疾患の罹患率も上がってきます。これらの疾患が不妊原因になることもありますから、そのようなことを調べるためにも検査は早いほうがいいと思います。

初診時にはどのような検査が必要になりますか?

初診時に必ず行う検査としては感染症のスクリーニング検査があります。B型肝炎やC型肝炎、梅毒、クラミジア、風疹抗体など感染症のほか、甲状腺機能も採血で調べます。

不妊に関しては月経の周期に合わせてホルモン検査を実施します。月経中にはLHF SH、E2など基礎的な卵巣機能を示すホルモン値を採血し計測します。排卵前には子宮卵管造影検査で卵管の通過性を確認します。排卵時には頸管粘液と精子の適合性をみるヒューナーテストを。黄体期には超音波で着床期の子宮内膜の厚さなどを調べます。

また、月経の時期に関係なく行える検査としてAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査があります。この検査は卵巣の予備能を調べるもので自費になりますが、30代でも平均値より低いケースもありますから、必ず受けられたほうがいいと思います。

不妊は男性側の原因が半数を占めていますから、ご主人の精液検査も必須です。先延ばしせず、できれば男性も初診時に検査を受けましょう。

 

病院を選ぶ際に気をつけることはありますか?

当院に転院してくる患者さんから「以前の施設では子宮卵管造影をしなかった」

「ちゃんとした検査はせず、排卵誘発剤だけを処方されていた」というようなお声も多く聞きます。不妊に関して漏れた検査があり、実はそこに問題があったとなると時間の無駄になってしまいます。

初診で病院を選ぶ時は、系統的な検査をきちんと網羅しているかどうかをポイントに。これはホームページなどで調べることができると思います。「必要な検査を実施=不妊について理解がある」ということになりますから、まずはそこをチェックしましょう。

 

治療はどんなペースで進めていけばいいのですか?

30代前半で明らかな基礎疾患がなく、かつ不妊期間が短いということであれば、タイミング法・人工授精などを半年程度トライしてもいいかと思います。

30代後半の場合は卵子の質など、基礎的な検査や一般不妊治療では調べようがない部分も出てきます。体外受精にトライすることで不妊の原因が見えてくることがありますから、タイミング法や人工授精の回数を各1~ 3回程度に短くして、早めに体外受精にステップアップすることを考えられてもいいのでは。 38歳以上になると卵巣機能が顕著に低下したり、受精卵の染色体異常が増えてきます。スピード感を持って治療に臨みましょう。

検査のタイミング

30 代前半なら自己タイミングを3~4カ月トライしても妊娠しかったら、30代後半ならすぐにでもスクリーニング検査を。

病院の選び方

不妊に関する系統的な検査をきちんと網羅している病院を。検査の漏れが 治療の遅れにつながってしまいます。

必要(重要)な検査

感染症のスクリーニングや卵巣機能を示すホルモンの検査、卵管の通過 性をみる子宮卵管造影検査などはもちろん、AMH検査も必須です。

治療の進め方

30代前半ならタイミング法・人工授精各半年程度トライする猶予があ りますが、38歳以上になったらステップアップは早めに。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。