排卵誘発剤の投与後、お腹の痛みが続きます。この治療法で大丈夫?
相談者:meronnpanさん(35歳)不妊治療を3年ほど続けていますが、自力で生理がこない卵胞が育たない状態です。今回、フェリング 150 の注射を12 本打ち、初めて排卵誘発剤を打ってもらえるくらいになり ました。卵胞は 26、22、18 ミリとほかにも小さいのが何 個かできています。排卵誘発剤の注射を打って2 日後からずっ とお腹が張って、歩くとしばらく痛みが続きます。無理してタ イミング法を行ったのですが、その後胃の痛みも出てきまし た。尿はいつも通り出ていますが、大丈夫でしょうか?
生理がこない原因としてはどのようなことが考えられるでしょうか?
蔵本先生●自力で月経がこないとのこと。 データが少なく、以前は定期的に月経があったかどうかも不明ですが、排卵障害がありますね。排卵障害の原因としては、 中枢性のものと卵巣機能低下が考えられます。AMHの値が1.4ng/ml ということで 35 歳の年齢としては低値ですが、卵胞はある程度できているようですので、中枢性の視床下部などの機能異常もあるので はないでしょうか。一度、月経初期の血中LH、FSH、プロラクチン値を測定してください。LH、FSHが低い場合は中枢機能の低下、高い場合は卵巣機能 が低下していると考えられます。ただ、排卵誘発剤(HMG注フェリングR)の注射を150 単位で 12 日間注射し3 個卵胞が育ったということですと、卵巣の反応もあまり良くないかもしれません。
排卵誘発剤でお腹の張りや胃の痛みが出ることはありますか?
蔵本先生●meronnpanさんが おっしゃる排卵誘発剤の注射とは、最後に排卵を促すHCG製剤のことだと思いますが、排卵に伴う痛みに加え、複数の卵胞が排卵・黄体化したため「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」といって卵巣が腫れて少し腹水が溜まった状態ではないでしょうか。経腟超音波検査で卵巣はどれくらい腫れているのか、腹水が溜まっていないかどうかを診てもらってください。画像検査としては、経腟超音波検査、そして腹水が溜まると血液が濃縮し、その程度を示すヘマトクリットを調べる末梢血検査、血中のエストロゲン(エストラジオール、E²)の検査などがあります。腹水が多くあればカバサールRを服用したり、血中のE²値に問題があればレロゾールを内服するなどしてエストロゲン値を下げさせます。安静を取り、塩辛いものを控えれば落ちつくと思います。
排卵障害のある方の治療方法はほかにどんなものがあるでしょう ?
蔵本先生●meronnpan さんはAMHが低く、3年間治療されて結果が出ていない状況です。さらに35 歳前後からは妊娠率が低下します。排卵誘発剤を 使用すれば、卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠のリスクが伴います。逆に使用しなければ排卵できないという、薬ではコントロールしづらいケースのようです。
人工授精ですと、今回と同じ症状を 繰り返す可能性もあるので、やるとしても1回。それより、早めに生殖医療 専門の病院で、体外受精や顕微授精など、より妊娠率の高い生殖補助医療に 進まれるのがいいと思います。