Q 採れる卵子が少ない場合、 望ましい受精法は?
ドクターアドバイス
残りの卵子の数を示すともいわれている AMH(抗ミュラー管ホルモン)値が低い と、やはり採れる卵子の数は少ないのでしょうか。
岡先生 この方はAMH値が0・ 75ng/ ml とのこと。確かに年齢の割には低いと思いますが、深刻な状況というほどではないと思います。
一般的にAMHは1 ng/ ml を切ると低いといわれていますが、 0.3ng/ ml で卵子が9個採れて、出産まで至った 42 歳の方もいらっ しゃいます。逆に2 ng/ ml 程度あっても子 宮内膜症などがあると、卵子が2、3個しか採れないことも。いろいろなケースがあるので、数値はあくまでも目安と考えたほうがいいでしょう。
少ない卵子を無駄にしないために、次は 顕微授精を考えているようですが。
岡先生 通常、顕微授精は無精子症など精子側に問題がある場合に実施することが多いのですが、男性不妊以外で選択することがないとはいえません。それはたとえば、 40 代で胚が1個しかなく、多精子受精などを防ぐために顕微授精を優先するケースです。
ただ受精率は通常の体外受精が約 60 %、 顕微授精だと約 70 %と、それほど大きく差 があるわけではありません。また、胚を移植しても着床しないのは、加齢による卵子の老化が影響しています。受精方法がどうかという問題ではないと思います。この方のように精子がありちゃんと受精もしてい るのに、あえて顕微授精を選ぶ必要はないと思いますね。
顕微授精をすることで染色体異常など、何かリスクが高まることはあるのでしょうか。
岡先生 受精法で悩むのではなく、妊娠率を上げるためには採卵数を増やすことが重 要。まずは3個以上採ることを目指してください。
クロミッドⓇを飲んでそのままだと成熟した卵胞は1個程度しかできません。生理が始まって2、3日目に見ると、3個くらい前胞状卵胞が存在する周期があると思い ます。クロミッドⓇに、1日おきでもいいので注射を加え、3個以上卵胞が育っていくように治療していくといいでしょう。
1個でも胚盤胞になったのですから、数が多ければ妊娠率はもっと高まるはず。低AMH=卵子の質が悪いということではないので、前向きに治療に臨んでいただきたいですね。