妊活の一歩はまず知ることから。妊娠・出産について、あなたはどのくらい知識がありますか? 〇×クイズで、妊娠の知識を高めましょう!
AMHが低い人は、妊娠しにくい?
低値でも卵子の質がよければ妊娠の可能性は十分あります
AMH(抗ミュラー管ホルモン)とは、原始卵胞から発育していく途中の卵胞である前胞状卵胞から分泌されるホルモンです。AMHの値は卵巣内の前胞状卵胞の数を反映するとされており、卵巣内に卵子がどれくらい残っているかの目安になります。
AMH値が低いということは、卵巣内の卵子の数が少ないということ。すなわち卵巣予備能力が低下しているということですが、これは卵子の質を評価する指標ではありません。卵子の数が少なくても(AMH値が低くても)、質のよい卵子があれば妊娠できる可能性は高いですし、逆に卵子の数が多くても(AMH値が高くても)卵子の質が悪ければ妊娠しにくいということになります。
AMH値が低いからといって妊娠できないと悲観することは必ずしもありませんが、低値だと閉経が早まるという報告もあり、そのため治療できる期間が短くなると考えたほうがよいと思われます。また、多くの卵子があったほうが(AMH値が高いほうが)多様な受精卵ができる可能性が高まるので、妊娠しやすいとも考えられます。
AMH値は卵巣を刺激して体外受精をした時、採卵できる卵子の数とよく相関するといわれています。子宮内膜症の患者さんでは低い傾向にあり、卵巣腫瘍などで部分切除を行ったりすると低下することが多いと考えられています。
体外受精をすれば、ほぼ妊娠する?
体外受精に臨んでも妊娠率は27歳で28%、38歳で19%程度
ARTと呼ばれる生殖補助医療は、日本では「不妊症の診断、治療において実施される人工授精、体外受精・胚移植、顕微授精、胚凍結、卵管鏡下卵管形成術などの、専門的であり、かつ特殊な医療技術の総称である」とされていますが、一般的には体外受精や顕微授精を指す用語として使われています。
2016年度の日本産科婦人科学会のARTデータブック(日本国内の登録施設の成績を総合したデータ)によると、キャンセルになってしまった周期も含め、すべての採卵・胚移植を合わせた総治療周期当たりの妊娠率は27歳くらいがピークですが、それでも28%程度です。そのうち15%以上が流産してしまうため、最終的に生産(赤ちゃんを出産すること)ができるのは22%くらいの方ということになってしまいます。
35歳以上になると妊娠率は低下し、反対に流産率は上昇していってしまうため、生産率はさらに下がってしまいます。38歳の患者さんでみると、総治療当たりの妊娠率は19%、流産率は26%、生産率は13%まで低下してしまうんですね。
同じご年齢でも患者さんによって卵巣機能などの条件が異なりますので、一概に何歳だからどうと語ることはできませんが、体外受精をしたからといって、必ず妊娠して出産まで到達できるとは限らないということがよくわかると思います。