排卵の周期が不安定に薬や注射は本当に必要?【医師監修】

【医師監修】大野 元 先生 岐阜大学医学部卒業。岐阜大学 医学部大学院修了。ブリティッ シュ・コロンビア大学(カナダ) 研究員、岐阜大学助手、IVF大 阪クリニックを経て、1999年8 月開業。専門は周産期と不妊で 体外受精のエキスパート。O型・ おうし座。穏やかな理系青年風 だが、実はスポーツマンで、趣味 はラグビーに筋トレ、山歩き。
咲さん 28 歳 Q. 排卵誘発剤服用と注射で排卵の周期に乱れが。  ※ ョート法でも成果なし。 ホルモンや排卵に数年間まったく問題が なかった私にこの薬や注射は必要なのでしょうか。 現在の治療法を見直さなくても よいのでしょうか?
※ショート法:月経開始日からGnRHアナログ製剤を使用し、月経3日目からHMGを7日間連続して筋肉注射する排卵誘発法。

薬と注射は必要なの?

咲さんは、高温期の薬と注射により、排卵の周期が乱れてしまっています。以前はホルモンや排卵に問題がなかったようですが、薬と注射は本当に必要なのでしょうか?
大野先生 高温期にプラノバールを飲んでいらっしゃいますが、これは卵胞ホルモンと黄体ホルモンを含む、比較的ホルモン量が多い薬です。以前は避妊用ピルとしても使用されていました。内服中は卵胞の発育を抑えるので、次の周期の卵胞はゆっくり育つ傾向にあります。基礎体温表で高温相が十分にあるなら、服用を止めるか、あるいは黄体ホルモン剤だけにしてもよいでしょう。
※ 性性腺刺激ホルモン製剤(HCG)は、卵胞の成熟を促し、排卵を誘起させる注射です。
※胎盤性性腺刺激ホルモン製剤(HCG):発育した卵胞を排卵させたり、黄体機能を維持・活性化させるホルモン製剤。 
しかし、妊娠していないのに、妊娠していると体が錯覚してしまう作用も引き起こします。
注射した周期に妊娠すればよいのですが、妊娠しなかった場合、次の周期の卵子の質に悪影響が出る可能性があります。人工授精前のHCGの代わりにGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アゴニスト(スプレキュアなど)の点鼻薬を使用してもいいでしょう。

体外受精へのステップアップは?

人工授精から体外受精に切り替えたことは適切だったのでしょうか?
大野先生 この方は人工授精を7回行っているので、体外受精へのステップアップは正しい選択だと思います。もともと月経周期が順調なので、卵巣機能をリセットできれば、以前のように 28 日周期に戻る可能性は十分にあります。
また、ショート法で排卵誘発されてますが、1度目は卵胞が育たず、2度目は卵が6個採れて受精しましたが、桑実胚まで成長しませんでした。次に試すなら、どんな誘発法がいいでしょうか。
大野先生 ショート法で卵胞が育っていないということは、その時の卵巣機能が低下していたということです。2度目の受精卵もすべて桑実胚まで進まないということは、卵子の質に問題があったのかもしれません。長期にわたる不妊治療、薬、注射による通院で精神的に疲れているだけでなく、卵巣も疲れているのではないでしょうか?
今後は、完全 自然周期もしくはクロミフェン周期のマイルドな体外受精をおすすめします。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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