Q ヒューナーテストの結果が不良 次のステップに進むべき?
松山 毅彦 先生 東海大学医学部卒業。小田原市立病院産婦人科医長、東海大学付 属大磯病院産婦人科勤務、永遠幸レディースクリニック副院長を経て、 1996年厚仁病院産婦人科を開設。日本生殖医学会生殖医療専門医。
目次
ドクターアドバイス
●ヒューナーテスト不良の原因を追究して次の対策を立てましょう。
●卵管造影検査後数カ月は待機してみてもよいかもしれません
かなさん(35歳)からの相談 Q.不妊歴3年になります。近くの産婦人科でタイミングをみて もらっていますが、なかなか妊娠に至りません。今までに行っ た検査の中で、ホルモン検査、卵管造影検査、頸管粘液検査、 内診、クラミジア検査、子宮頸がん検査はすべて異常なし。 ヒューナーテストの結果は不良でしたが、精子に問題はあり ませんでした。抗精子抗体とAMH検査はまだしていません。 卵管造影検査をして3カ月〜半年は妊娠しやすいゴールデン 期間なので、その間はタイミングをみながら自然妊娠でき ればと思いますが、年齢的にも早く人工授精や体外受精に 進んだほうがいいでしょうか。そのほか、受けていない検査 を受けたり、薬をもらったほうがいいのでしょうか。
ヒューナーテストの結果が不良だった点について、どのような原因が考えられますか。
松山先生 すでにさまざまな検査を受けているようですが、私はヒューナーテストはいろいろなことを教えてくれる検査だと思っています。ヒューナーテストとは、性交後に子宮頸管粘液を採取して、精子の数や運動状態などを調べる検査です。精子が子宮にきちんと入っていける状況なら自然妊娠ができる環境にあると言えます。ですから、子宮頸管粘液が正常で、そこにいる精子が元気に動いていれば、ヒューナーテストの結果は良好ということです。
逆に不良の場合は原因が三つ考えられます。一つ目は精子の異常、二つ目は子宮頸管粘液の異常、三つ目は精子が子宮に入るのを妨げる抗精子抗体があることです。かなさんの場合、精子と子宮頸管粘液は問題ないようなので、抗精子抗体を調べたほうがいいと思われます。
抗精子抗体検査とは、どのような検査でしょうか。
結果が不良の場合はどうすればいいですか。
松山先生 抗精子抗体(精子不動化抗体)が分泌液中にある場合は、その抗体が腟から子宮頸管内で精子と結合し、精子の運動機能を阻害します。また、この抗体があると卵管内では精子通過が阻害され、さらに受精もしにくいことがわかっています。ヒューナーテストが不良であっても抗精子抗体検査の結果が陰性の場合は、精子を子宮の中に送り込んであげればいいので人工授精がおすすめです。抗精子抗体検査の結果が陽性の場合は、体外受精に進んだほうがいいでしょう。
AMH 検査もしていないようですが、この場合は必要でしょうか。
松山先生 AMH 検査は、卵巣に残された卵子の数の目安(卵巣予備能)を調べます。値が低いからといって妊娠できないというわけではないですが、高すぎると多囊胞性卵巣症候群の疑いも出てきます。私は大事な検査と考えておりますが、すべての人に必要かというとそうとも言えません。
ご本人としては、しばらくはタイミング療法でいきたいようです。
子宮卵管造影検査の後は自然妊娠しやすい期間と言えるのでしょうか。
松山先生 実際のところ、子宮卵管造影検査後に妊娠率が上がるとは言い切れないと思いますが、検査後に妊娠が成立したという話を聞くことはあります。3~6カ月間は待機期間と考えてもよいかもしれませんね。かなさんの場合は、今のうちに抗精子抗体検査やヒューナーテストの再検査をするなどして、次の作戦を立てながらタイミング療法で頑張るといいのではないでしょうか。