LUF(黄体化未破裂卵胞)について

LUF(黄体化未破裂卵胞)は どんな人に起こりやすい対処法は?

卵胞が成熟しても排卵せず、そのまま黄体化してしまうため、妊娠に至ることができないLUF。

どんな 人に 起こりやす い のか、予 防や 改 善 の方 法 はあるのか、 いくたウィメンズクリニックの生田克夫先生にお話を伺いました。

生田 克夫 先生 名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教授、 名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名古屋の 方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。地元・名 古屋の中心部、栄に開院し、1986年から体外受精の現場を歩いてきた経験 と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。

ドクターアドバイス

子宮内膜症を治療しても改善策にはならない
LUFは子宮内膜症そのものというより、それに伴う 癒着によって起こります。内膜症は治療をしても再 発の可能性が高いため完治は難しく、LUFの起こる 頻度は下がらないので、最終的な妊娠方法は体外受 精になりますね。
らんらんさん(30歳)Q.不妊専門外来に通って3カ月です。タイミング法を行い3周期目の今 回、排卵チェックでLUFと診断され、子宮内膜症もあると先生から 告げられダブルショックです。左卵巣にシスト、16mmの卵胞が2つ あると言われていて、その1つが25mmになっていたそうです。もう 片方が排卵している可能性はないでしょうか?「 LUFが続くようなら 体外受精も考えてください」と言われましたが、この時点でステップ アップするのは普通なのでしょうか?

LUFであるかどうかの診断は 難しく、見間違えることも

らんらんさんは今回、 16 ㎜の卵胞が 2 つあって、その 1 つが 25㎜になっていたということですよね。 16 ㎜でめったに排卵は起きないので、 20㎜近くになって排卵したのではないでしょうか。もしくは 23㎜とか 24㎜まで育って LH サージが起きたのかもしれません。要するに、黄体の中期ぐらいに調べて 20㎜くらいの袋が残っている場合、そのサイズのところで卵胞が破裂(排卵)したということなので。
たとえば 20㎜で LH サージが起きたとし ても、それですぐに排卵するという保証は何もありません。卵胞の壁が硬ければ、しばらく大きくならないと破裂しません。それで 25㎜ぐらいになって卵胞が破裂するということも。排卵後の卵胞は黄体化し、最終的には消失しますが、また破裂した穴が塞がって水が中に溜まってくると 25㎜ぐらいの大きさになって黄体中期に超音波で見えることは普通にあります。だからこれはLUFではないと思いますね。

卵胞の壁が硬いと、排卵まで 時間がかかることがあります

何もお薬を使っていなければ 20㎜ぐらいで LH サージが起きます。それがたとえば35㎜ぐらいの大きさになっていたら、おそらく破裂してないんだろうと思います。たまにそのくらい大きくなるまでなかなか破裂孔が開かず、やっと排卵するということもあるわけです。すると、卵胞は破裂するといったん潰れます。破裂孔が塞がると、その中に水や血液が溜まって膨らんできます。黄体中期で見た時の卵胞の大きさは、排卵した時のサイズより大きくなることはないのです。だからあまりにも大きければ、破裂せずに膨らんでしまったものだろうという気がします。
  LH サージが起きると、卵胞壁の顆粒 膜というところがヒアルロン酸をつくって卵子を壁から浮かせてきます。ヒアルロン酸がどんどん水を引いて膨らんできて中の体積が少し増える感じになります。中からの圧力が高まるのと酵素ができて、卵胞壁の構造を壊し始めるので壁に破裂孔が開き排卵が起きます。なかなか酵素が出てこなかったり、壁が厚くて簡単に破裂孔が開かず時間がかかると、中に水が溜まってくる一方のため大きく膨らんでしまうわけです。

LUFが起こる原因の一つは 子宮内膜症

LUFそのものの頻度は、昔の腹腔鏡での診断だと 7 ~ 8 %ぐらいと言われていました。超音波で診断するようになってから10 %ちょっとの頻度で起こるといわれていますね。子宮内膜症などがあると、確率は20 %くらいに高くなります。これは癒着が起きやすいからで、本来破裂孔が開くところの向こう側に子宮や腹膜がくっついて蓋をしているからです。卵巣の周りのどこかに癒着があると、そこで膨らんだ卵胞は破裂しない可能性があります。研究をしている人はいますが残念ながら根本的なLUFを防ぐ方法や改善方法はありません。
  腹腔鏡手術で卵巣周りの癒着を剝がすこ とはできます。しかし再癒着の頻度が高く、癒着剝離しても約 6 割は再癒着するというデータを出しているところもあるぐらいなので、あまりおすすめはしません。子宮内膜症は不妊症の方の 2 割ほど、内膜症のある方の半分は不妊症です。だからといって絶対に妊娠しないわけではないですが、非常に関連性は高いですね。

子宮内膜症がある場合は、 体外受精も視野に

らんらんさんは内膜症があると診断されているので、LUFになる確率が少し高めではあるでしょうね。かなり大きな卵胞、たとえば 35㎜くらいのものがたくさんできるようだと次の周期まで残っている可能性が高く、影響が出てくることもあります。今後ある程度様子をみて、本当にLUFが多いようであれば体外受精を考えたほうがいいかもしれないですね。
  治療法はその状況により変わりますが、 卵巣刺激で卵胞数を増やして、割れるかもしれない卵胞の確率を上げるのも一つ。ただ、内膜症はジワジワと進行するので、あまりのんびりやっていると、悪化することも。不妊専門外来にかかって 3 カ月ということですし、年齢もまだ 30 歳なので今すぐにということではないですが、LUFが続くようなら体外受精も考えたほうがよいかもしれません。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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