Q 卵胞があまり育ちません。 どんな刺激法がいいの?
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石原 尚徳 先生 高知大学医学部卒業。神戸大学医学部大学院修了。医学博士。 兵庫県立成人病センター、兵庫県立こども病院の勤務を経て、2008 年より久保みずきレディースクリニック菅原記念診療所。不妊治療から 周産期・小児医療まで、地域に根ざした総合的なサポート体制が整う 同クリニックで、不妊治療/婦人科、産科の外来を担当する。定期的 に接骨医に通院されている先生は、その教訓からご自身も本でマッサー ジを勉強中。サッカーやバレーで体を酷使しているお嬢さんや息子さんを 気づかって、30分の本格的なマッサージをしてあげることもあるそう。
ドクターアドバイス
●年齢やAMHの値を考慮するとショート法や再度アンタゴニスト法もおすすめです。
●卵胞チェックの時点で自己注射の増量が可能。採卵数が増えるケースもあります。
ソラマメさん(38歳)からの相談 Q.初の体外受精で卵胞があまり育ちませんでした。気になったの がD3のホルモン検査でFSHが17.7mlU/mlだったこと。先生 から「少し数値が高いから注射を強めにしておくね」と言われ ました。4カ月前の検査では10を切っていました。ピルは3カ 月前から高温期に服用しています。今回はアンタゴニスト法で、 HMGフェリングⓇ150単位とゴナールエフⓇ150単位を3日 目から自己注射。結果、卵胞4個で採れた卵子は1個。その1 個は受精せず移植キャンセル。次はロング法でと言われていま す。また卵子が採れないのではないかと不安です。①ピルの副 作用で卵胞の成長に影響はありますか? ②次はロング法です が、高齢かつ前回の卵胞が4個の私に合うのでしょうか? ③D 7の検査でも卵胞は3個しか確認できませんでした。この時点 で刺激法を変更することはできなかったのでしょうか?
ソラマメさんはピルの副作用を気にされ ています。
ピルについて教えてください。
2つの女性ホルモ ンにはそれぞれ役割があり、たとえば、エス トロゲンは視床下部に卵胞が発育しているこ とを伝え、プロゲステロンは子宮内膜を厚く して受精卵が着床しやすくなるように作用し ます。
当院では人工授精の場合、黄体ホルモ ンが少ない方や内膜が薄い方には、排卵期以 降にピルを使用することがあります。
また、ピルには排卵を抑える働きがあり、 体外受精では一時的に排卵を抑え、卵巣の 状態を安定させるために使用することがあ ります。
こうすることで排卵誘発剤を使用 する周期に卵胞が育ちやすくなります。
ピ ルが卵胞の発育に影響することは基本的に ないと思います。
このような方にはどのような刺激周期法 がよいのでしょうか。
石原先生 刺激周期法には代表的な方法が 3つあり、月経3日目から排卵誘発注射剤 +アンタゴニスト製剤を使用する「アンタ ゴニスト法」、月経の約1週間前から点鼻 薬+注射剤を使用する「ロング法」、月経 開始1日目から点鼻薬+注射剤を使用する 「ショート法」があります。
どの方法を選択 するかは年齢とAMHの値によって判断し ます。
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この方の場合はAMHが 2.5ng / ml と そこそこにありますから、ロング法で卵胞 が育つ可能性があると判断されたのでしょ う。
この選択も決して悪くはありません。
当院であれば、ショート法もしくは、再 度アンタゴニスト法をおすすめします。
ショート法はロング法にくらべて卵胞を発 育させる力が強いことから、卵巣の予備機 能が低く、強い卵巣刺激が必要な方に適し ています。
一方、アンタゴニスト法はPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)やOHSS(卵 巣過剰刺激症候群)など、いわゆる卵巣が 過剰に反応し、卵胞が育ちすぎる方に適し ています。
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AMHの値にかかわらず、どの タイプの方にも使いやすいというメリット があります。
検査時点で刺激周期法を変更することは できますか?
石原先生 この方はHMG製剤のフェリン グⓇとFSH製剤のゴナールエフⓇを使用さ れています。
刺激周期法を変えるという意 味で、当院ではこのHMGやFSHの投与 量を増やすことはよくあります。
ソラマメ さんの場合も投与量を増やしてもよかった のかもしれません。
粘り強く増やしていく と「今回は採卵をキャンセルするかもしれ ません」と言っていた方でも、しっかり採 卵できることがあります。
ただし、もとも と卵巣の予備機能が低い方には効果が現れ にくく、時間と費用だけかかってしまうこ ともあります。
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初めての体外受精でたまた ま卵胞が4つだったのでがっかりされてい るのかもしれませんが、周期によって発育 卵胞数は変わりますから、次回はたくさん 採れる可能性もあります。