LH、FSHが高いと妊娠できない?

44歳で閉経の数値に。

原因は年齢? ストレス? この先、妊娠できますか

今周期から、いきなり低E2・高LH・高FSHの閉経値に。

一度、閉経値が出ると、この先は妊娠しにくいのでしょうか。

醍醐渡辺クリニックの渡辺浩彦先生にお話を伺いました。

渡辺 浩彦 先生 滋賀医科大学卒業後、京都大学医学部附属病院産婦人科、大 津赤十字病院、済生会茨木病院などを経て、1971 年から不妊治 療を行っている父親の病院を継承。不妊治療から分娩まで手掛け、 365日24時間の診療体制を取る。不妊治療と産科を兼務する多 忙な毎日。そんな先生の唯一の気分転換は、クリニックのすぐ隣に あるフィットネスクラブに通うこと。「毎週2回、筋トレマシン15 分、 ストレッチ 10 分、サウナ 10 分、プールで500m泳いで1時間。 近所だから続いているんでしょうね(笑)」
いママさん(44歳)からの相談 Q.今周期から卵胞が育たなくなり、低E2・高LH・高FSH に。先生いわく、閉経の値とのこと。一度、閉経の値が出て しまうと妊娠は難しいと言われました。今まで生理周期も安 定し、基礎体温も二相に分かれ排卵もありました。原因はや はり高齢またはストレスでしょうか? 大豆イソフラボンの 過剰摂取でFSHが上がりますか? 今後の妊娠は難しいの でしょうか。「カウフマン療法」をしたほうがいいのでしょ うか? このまま放っておくと生理がこないのでしょうか? 来週、先生と今後の相談をする予定ですが、今回の結果を受 けてショックで立ち直れません。

●これまでの治療データ

検査・ 治療歴

卵管検査で異常なし

不妊の原因と なる病名

高齢

現在の 治療方針

卵胞チェック、タイミング療法、クロミッドⓇ服用(1周期)、 HCG注射(2周期)

精子 データ

未実施

FSHの値から考えると

低E2・高LH・高FSHは閉経を意味するのでしょうか。また、ストレスも影響しますか。
渡辺先生 具体的な数値が書かれていないのでわかりにくいですが、一般的にFSH(卵胞刺激ホルモン)の値が 40mIU/ ml を超えると 閉経レベルとされています。
ただ、1回の検査で閉経と判断するのは難しく、2回目の検査でもFSH値が 40mIU/ ml を超えた場合、閉 経レベルと判断します。
ストレスは原因の一部になっているかもしれませんが、多くは加齢現象だと思います。
閉経の年齢には個人差がありますが、 44 歳で閉経レベルになること はありえます。
FSH値は少なくとも 25mIU/ ml 以下、理想を いえば 15mIU/ ml を下回ることが望ましいです。

カフマン療法

 FSHが下がるということは卵巣で卵胞が 育ちやすい環境になることを意味します。FSHを下げる方法はありますか。また、大豆イソフラボンの過剰摂取がFSHに影響するのでしょうか。
渡辺先生 卵巣の中で卵子が減っているので、卵巣が卵をつくりたくない状態のところに、脳下垂体が卵をつくりなさいという指令をたくさん出します。
するとFSHの値が上がってきます。しかし、FSH値が高い状態が続くと、卵巣は麻痺してさらに卵をつくらなくなってしまいます。
まずは、卵巣が麻痺した状態を改善する必要があります。
そこで、この方も書いておられるカウフマ ン療法が有効になります。
カウフマン療法は、本来卵巣から出ている女性ホルモンを人工的に補うことによって、卵巣が働いていることを視床下部・下垂体に錯覚させ、高すぎるFSHを下げる効果があります。
具体的な方法として、治療の前半でエストロゲン(卵胞ホルモン)だけを補い、後半でエストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つを補います。
これにより排卵自体はないものの、基礎体温では低温期と高温期ができあがります。
すると脳視床下部・下垂体は卵巣が働いていると錯覚してFSHを下げはじめます。
その後、小さい卵胞が超音波で見えてきますので、それを大切に育てていきます。
諦めずに治療を続けられるのであれば、カウフマン療法をおすすめします。
イソフラボンの過剰摂取で、FSHが上が ることはないと思います。
エストロゲンに類似しているという点では、カウフマン療法と同じ原理が考えられ、FSHが下がる傾向に働くのではないかと思います。
ただ、イソフラボンの治療効果について明確な根拠はわかりません。
いママさんの場合、FSHの値が閉経レベ ルであるということと、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が 3.8 というのは一致しませ ん。
AMH値をいつ測定されたのかがわかりませんが、 3.8ng/ ml であれば、まだ卵子が残っ ている可能性があります。
このAMHの値が最近のものであるという仮定で考えると方法はまだあります。

AMHの値から考える

具体的にどのような方法がありますか。
渡辺先生 不妊の要因は、年齢とAMHが少なからず関係しています。
仮にAMHの値が3.8ng/ ml とすると、卵管がちゃんと通ってい て精子が十分にあれば、タイミング療法や人工授精も可能です。
ただし、タイミング療法や人工授精はロスが生じやすくなります。
たとえば、排卵された卵子が確実にキャッチされるとは限りません。
また、卵子と精子とが出会っているかがわかりにくい。
時間的な要因も大切で、排卵後の卵子の寿命は約 10 時間、 精子の寿命もそれほど長くありません。
不妊治療の場合は、1日のずれもないようにタイミングを合わせる必要があります。
一方、体外受精はスケジュール通りに行え ば、ほとんどの場合、成熟卵子が採れます。
精子も一緒に採取すれば、タイミングを合わせる必要がないので、ロスがありません。
卵子をほぼ確実に回収し、確実に精子と出会わせることができます。
場合によっては顕微授精で意図的に受精させることも可能です。
そういう点では体外受精は有効だと思います。
いママさんの場合は、卵子がたくさん採れる可能性は低いと考えられますので、年齢的な点からも、ロスが少ない治療法を選択されたほうがよいと思います。

高年齢の不妊治療

先生のクリニックでは、 44 歳以降の治療の 現状はいかがでしょうか。
渡辺先生 当院が直近の 3 年間(201 3 年〜2015年)で調べたデータでは、 44 歳以 上の妊娠数は 25 名。
その中の出産・妊娠継続 は5名です。
また、出産・妊娠継続5名のうち、刺激法を実施したのは4名、低刺激法は1名。
流産することなく出産・妊娠に至った方のほとんどが刺激法です。
一般的に高齢や卵巣機能が低下した方には、低刺激法がよいとされていますが、必ずしもそうとも限りません。
丁寧に刺激をして、いい状態で採卵をしたほうがうまくいく場合もあります。
低刺激法の難しいところは、排卵を抑えていないために、採卵予定日にすでに排卵していて、採卵のタイミングを失いやすいこと。
また、卵巣機能が低下していると未熟なうちに排卵することもよくあります。
こういったロスを防ぐために、 40 代以降の方にも刺激法を選択すること があります。

ジネコ注目のスタッフ!

看護部 森下恭子さん  現在は助産師として、不妊治療専門の看護師を 目指して勉強中です。不妊治療は、身体的・物理 的な不安に加えて、精神面に及ぼす影響は計り知 れません。現場で、先の見えない治療、妊娠への 期待と落胆の繰り返しから、追い込まれている女 性も少なくないと感じます。喪失や悲しみに共感 し、患者さまの一番身近な存在として寄り添える 看護師でありたいと思います。  また、正しい知識と最先端の情報をお伝えし、 お二人が納得のいく意志決定ができる看護支援を 大切にしています。  何よりも、患者さまのさまざまなニーズにお応 えするためには、「チーム医療」が欠かせません。 医師・看護師・培養士・受付・心理カウンセラー がコミュ二ケーションを取り相互理解を深めるこ と。そして、生まれてくる赤ちゃんの幸せを願い、 不妊治療からお産までトータルにサポートできる 看護を目指していきます。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。