【Q&A】高グレード同士の2個移植について~浅田先生【医師監修】

みゆねさん (40歳)
今まで4回移植して全て着床せずでした。保険での移植が残り2回となり、2個移植をしたいと考えています。残りの凍結胚は4AA、5ABです。主治医からは「グレードがいいからオススメしない」と言われました。グレードがいい凍結胚同士はオススメしないのでしょうか。

浅田先生に聞いてきました

【医師監修】浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

グレードのよい胚盤胞は2個移植しない方がよいとお話があったそうですが、グレードの良し悪しは見た目の違いであり、その後の妊娠率にみなさんが思っているような大きな影響はありません。グレードは、移植の順番を決めるために背番号を付けているようなもので、見た目のグレードでそのまま妊娠率が決まるのなら、それほど簡単な話はありません。
また、胚盤胞は膨らんだり縮んだりと動いているため、見るタイミングによって同じ卵でもグレードは変化します。

なかなか妊娠しない方に対して2個移植するのは、時間の短縮のため、2個の内どちらか一つが育つのを期待するものです。最初から双子となりそうな方に2個移植することはありません。原則は1個移植ですが、35歳以上ならば2個移植が許容され、35歳未満の場合、2回移植して結果が出なければ2個移植が許容されます。
質問者さんの場合、着床不全で血液検査、子宮内フローラ検査、FT法をされたとのことですが、それらの検査などで妊娠率が上がるというはっきりとしたエビデンスはありません。妊娠しにくいと、何か検査をした方がよいのではとお考えになるかもしれませんが、不妊治療の本質からすると正しい医学的判断とは言えません。
抗核抗体は定性検査で、抗核抗体には多くの抗体がありますが、その中で抗セントロメア抗体が陽性で抗体価が高い場合には、成熟卵子が採れにくくなったり、受精しても異常受精が多くなったりしますので、不妊治療の効率が悪くなります。質問者さんの場合、抗核抗体陽性ですが、普通に胚盤胞ができているため、抗セントロメア抗体ではないと考えられ、それほど気にすることはないでしょう。
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