卵子は月に1000個減っている

卵子 は月に1000個 減っている!!

知っているようで、実は知らないことがたくさんあ る「卵子」。

そもそも卵子ってどうやってできている の?

個人差はあるの?

勘違いや誤解をスッキリ 解消する「卵子の基本知識」を、セントマザー産婦 人科医院の田中温先生に教えていただきました。

田中 温 先生 順天堂大学医学部卒業。越谷市立病院産科医長時代、診 療後ならという条件付きで不妊治療の研究を許される。 度重なる研究と実験は毎日深夜にまで及び、 1985年、つ いに日本初のギフト法による男児が誕生。1990年、セ ントマザー産婦人科医院開院。日本受精着床学会副理事 長。過去に3回投稿した円形精子細胞の論文を、別機関 に的をしぼって4回目の投稿に挑戦した田中先生。「自 分の子どもを抱ける可能性がある技術を提案し続けた い」という思いが、研究へのたゆまぬ熱意を後押しして いるそうです。

ドクターアドバイス

女性ホルモンは、感情や習慣と 密接に関係しています

閉経を迎えることは避け られませんが、卵巣機能 を若く保ち、機能が低下 するスピードを緩やかに することは可能です。

規則正しい生活リズ ムと適度な運動 で、自らを美し く磨くことを心 がけましょう。

卵子の基礎知識チェック!!!

〇卵子のもとは胎児のうちにできる

〇何個か成長するけど排卵は1個だけ

〇1個でも質の良い胞状卵胞があれば妊娠の可能性大

✖卵子は毎日新しく生産される

✖卵子は月に1個しか成長しない

AMHの数値は妊娠率と比例する

卵子

卵胞のなかの1個だけが排卵! その陰に自然消滅する約1000個の卵子あり!!

卵巣

卵子をつくり、ストックする場所。 月経期になるとホルモンが分泌され、 卵巣で卵胞が成長を開始する。

人間は閉経を迎える動物

卵子になる細胞は、胎児の時がもっとも多 く数百万個。実際に私も見たことがあります が、卵巣に原子卵胞がびっしりと詰まってい ます。

女性の月経が始まり、第二次性徴を迎 える頃には 10 分の1に減って数十万個。

月に 1個排卵しているので1年間に使う卵子の数 は 12 個で、月経のある年数を 40 年で計算して 合計480個。

排卵誘発剤を使ったとしても、 何十年も不妊治療をするわけではないから使 う卵子は1000個程度です。

ではなぜ、数 十万個もある卵子が 40 年ほどでゼロになるの でしょう。

ゼロとは閉経を意味します。ほ乳 類で閉経があるのはほぼ人間だけで、サルも チンパンジーも閉経がないため死ぬまで子ど もを産み続けることができます。

人間の場合、 50 歳以上の妊産婦の死亡率が とても高く、卵子の老化に起因する染色体異 常率も高くなるなど、デメリットが圧倒的に 多く、出産時のリスクが高すぎます。

そのた め、種の保存という観点から、閉経という独 自の進化を遂げたのだと考えられています。

閉経するように遺伝子がプログラムされてい るため、数十万個ある卵子をゼロにしなけれ ばならない。

毎月、1個排卵するたびに約 1000個が自然消滅(アポトーシス)して、50 歳前後でゼロになり、最終的に閉経を迎え るという仕組みです。

卵子の質は遺伝子で決まり、 卵巣年齢は生活習慣の影響も

卵子の質は、もって生まれた遺伝子によっ て個人差があります。

質が良ければ子どもが できるということになりますが、実際は普通 に排卵していて、精子にも問題ないのに不妊に悩まされているカップルは7、8組に1組の 割合でいます。

遺伝子をもう少し説明すると、たとえば早発閉経の人は1回の排卵で自然消滅する卵子 の数が多く、通常よりも早く閉経してしまい ます。

男性の場合では無精子症を例に出すと、 胎児のごく初期の段階で精子をつくる遺伝子 に異常がおこり、無精子症になると考えられ ています。

いずれも遺伝子の突然変異で、原 因はわかっていません。

個々の質にしても、 遺伝子の情報は個人によって違いますし、遺 伝子がどのようにコントロールされているか わからないのが現状です。

また、卵子の質と排卵障害は一緒に考えら れがちですが、これはまったく別物です。

排卵障害は卵ができない、排卵しない、成長し ないということ。

質は悪くても排卵する人も いれば、うまく排卵できない人もいます。

基 礎体温が二相性で月経も順調だけど質が悪い 人もいます。

それを証明するのは、自然の状 態では難しいでしょう。

ただし、月経不順や 基礎体温が二相性にならない場合は卵巣機能 の低下が疑われます。

食生活が影響する場合 もありますし、急激なダイエットによる痩せ すぎも危険です。

規則的な食生活と適度な運動を心がけるな ど、日常生活を見直すことが直接的に卵子の 質に結びつくわけではありませんが、卵巣機 能の老化を少しでも遅くしたり維持したりす るには、自分自身を若く美しく保とうと心が けることも効果的でしょう。

AMHの数値に惑わされず、 月経3日目の 胞状卵胞をチェック

原子卵胞は 2 カ月くらいかけて成熟します が、その初期の段階では脳下垂体からの影響 を受けません。

自らの力で大きくなり、一定に達すると脳からのホルモンに反応して成長 し、排卵します。

原始卵胞は、どういう状況下におかれてい ても、ある程度の数は残っていますが、健康 的な生活をしていなかったり、脳の働きが悪 かったりするとホルモンが不足して、最初は 順調に育っていた第一次・第二次原始卵胞が、 胞状卵胞に変わる時に発育が止まります。

そ れが卵巣機能不全による排卵障害です。

脳下垂体から分泌されるFS H (卵胞刺激 ホルモン)が卵巣に働き、胞状卵胞の顆粒膜 細胞からエストロゲンが分泌されます。

卵胞 が成熟するとエストラジオール(E2)の数値 が高くなり、卵胞はさらに成熟して大きくな ります。

そして、ネガティブフィードバック という現象によってLHという黄体形成ホル モンが分泌され、排卵が誘発されます。

顆粒膜細胞から分泌されたホルモンは体中 を巡り、肝臓などいろいろなところを通って 血液にたどり着きます。

卵巣の予備能をAM Hの数値で判断するのは一般的ですが、AMHは胞状卵胞の顆粒膜細胞から分泌されるホ ルモンです。

AMH値もまた体内を巡り巡ってようやくたどり着いた血液中の数値ですか ら、絶対的ではないと理解していただけるで しょう。

卵巣予備能の正確な診断は、AMHの数値 だけではなく、月経3日目の左右卵巣内にあ る胞状卵胞の数と大きさと位置を調べること が不可欠です。

その時期の胞状卵胞は5㎜か それ以上の大きさですが、超音波では2㎜か ら観測できます。

AMH値が低くても、胞状 卵胞が確認できさえすれば排卵誘発が行えま す。

AMHの数値が低いと、すべて悪いよう に受け止められる傾向にありますが、たとえ 1個でも質の良い胞状卵胞があれば妊娠の可 能性はあるわけですから、そこを間違っては いけません。

生殖医療は今なお分野を超えたさまざまな 側面からのアプローチで研究が進んでいます。

今後、さらに大きく変化を遂げることが期待 でき、一つひとつ新たに解明されることが不 妊に悩むカップルの手助けにつながるでしょ う。

私もその一助となる研究を続けていきた いですね。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。