抗精子抗体の検査時期と遺伝について

母親の抗精子抗体の 体質が遺伝することは あるのでしょうか?

石川 弘伸 先生 1991年滋賀医科大学卒業、同大学院修了。泉大津市立病院副医長、 水口市民病院産婦人科医長、野洲病院産婦人科部長を経て、2003 年より醍醐渡辺クリニック副院長。大学院では生殖医学で着床の分野 の研究に携わり、生殖医療の道を志す。大学で2年先輩である同クリニッ ク院長の渡辺浩彦先生との縁で同クリニックへ。A型・射手座。「ウエ ストが1年間で5㎝も増えていてビックリ。最近、近所のプールに通い始 めました」と、先生。大学時代は水泳部だったそう。もともとスリムなので、 そんなふうには見えませんが……早めの対策で健康と体型を維持!
香さん(37歳)からの相談 Q.不妊治療で抗精子抗体が陽性とわかり、体外受精を受けて現在、2児の母とな れました。2人目が娘であったこともあり、気になるので教えていただきたく質 問します。母親の抗精子抗体の体質は遺伝することはあるのでしょうか? また、 抗体を持っているかどうかは何歳くらいから血液検査で判明するのでしょうか。 娘の将来にも大きく影響するので、事前にわかれば対処方法も教えておかなけ ればならないと思っています。現在はまだ0歳なので、まだ先の話ですが、心 構えをすることも含めて教えていただければ幸いです。

抗精子抗体は遺伝しない

抗精子抗体が陽性で、ご自身は体外受精によって妊娠、出産することができましたが、子どもにその体質は遺伝しますか?   2人目 のお子さんが女の子ということで、将来への影響を心配されています。
石川先生 結論からいえば、抗精子抗体を持つ体質が遺伝するという話は聞いたことがありません。
抗精子抗体が原因で起こる不妊は免疫性不妊といいまして、抗精子抗体とは、精子の動きを弱めるような働きをする免疫と考えていただければと思います。
ちなみに、香さんはお子さんが女の子だからと心配されていますが、自己抗体として男性に抗精子抗体が検出されることもあります。
男性の場合、精子と精子が塊のようにくっついてしまい、動かなくなったりします。

未だに原因は分からない

男性でも女性でも、体外受精をすれば妊娠することができますか?
石川先生 実は自然妊娠される方や、妊娠してお子さんをお持ちの方に抗体が検出されることもあります。
偶発的に出てくるもので、はっきりとした理由はまだよくわかっていないのです。
だから、どこまでこの抗体が悪さをしているのかというのは実際のところ不明です。
検査で陽性=赤ちゃんができませんというわけでもないんですよ。
抗精子抗体を持っていたかもしれないけれど、自然に妊娠して、出産されている人もいるということですか?
石川先生 そうです。不妊治療を始めた最初の頃は大丈夫だったのに、1、2年して検査をすると陽性になるような方もいらっしゃるようです。
もし香さんが今、検査されたとして、抗体がなくなって陰性になっている可能性もあるのではないでしょうか。
このように精子は本来、妊娠が成立するに あたって女性の体にとても大事なもののはずなのに、異物と認識して攻撃してしまう人がいらっしゃいます。
中には自己抗体といって自分の体に免疫の攻撃が向いてしまう人もいます。
女性に多い膠原病の一つであるリウマチなどの自己免疫疾患がそうですが、いまだ原因はわからないことが多いのです。

前持った検査は必要ない

将来のことを考えて、お子さんはいつ検査をしたらいいかという質問ですが、急いで検査をする必要はないということですね。
石川先生 そうです。免疫の働きは強くなったり弱くなったりするものなので、お嬢さんの場合も、何歳になったから検査をすべきというものではありません。
検査の必要がそもそもないと思います。実際に結婚されて、お子さんが欲しい、だけどできないという段階になって、初めて不妊症の検査をされたらよいことです。
もちろん、予防できるものでもないですし、普段の生活面で注意や心構えが必要なわけではありません。
ご自身の不妊治療の体験から、娘にはつらい思いをさせたくないというお気持ちはお察しいたしますが、体質の遺伝もまったく関係ありませんので、心配されることはないでしょう。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。