腹腔鏡手術をしたほうがいいでしょうか?

卵管采癒着のため 腹腔鏡を考えています 妊娠率は上がりますか?

福井 敬介 先生 1989年、日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に 入局、愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛媛大学産科婦人 科学助教授。2001年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊カッ プルに提供したい」と、福井ウィメンズクリニックを開設する。この秋からリフ レッシュと体調管理のため、ランニングを始めたそう。外来を終えた夕刻から 30分ほど、クリニックの周辺を走っています。「疲れていても白衣を脱いで 無心で走る爽快感はやみつきです」。
ゆりさん(23歳)からの相談 Q. 1回目の子宮卵管造影検査で、左卵管閉鎖、右は通っていると言われました。その後、転 院した病院で、子宮卵管造影検査を再度して左卵管が通り、両方の卵管が通りました。し かし、右卵管采の癒着が判明。「腹腔鏡手術をすることも考えてみて」と言われました。 私はまだタイミング法しかしたことがなく、手術となると悩みます。手術をすることで、私 の場合、妊娠の確率は上がるのでしょうか? 私は以前クラミジアにかかり、腹膜炎にまでなりました。それと ※ューナーテストの結果 はいつも悪く、0個がほとんどで最高は5個です。旦那には異常はありません。抗体検査 も異常なしでした。また、4月に受けた※AMH検査の値が10.8だったのですが、卵巣年 齢はいくつくらいなのでしょうか? 看護師さんには問題ないとしか言われていません。

腹腔鏡手術の必要性

腹腔鏡手術は必要なのでしょうか?
福井先生 この方の卵管采癒着は、クラミジア感染症と腹膜炎が関係しています。
お腹の中にかなり癒着があることが予想されますね。
ぜひ腹腔鏡を入れたほうがいいと思います。
卵管采が癒着していると、卵子を卵管に取り込むことができませんから、どんなに排卵していても妊娠にはつながりません。
腹腔鏡手術をおすすめする理由は、子宮卵管造影検査では、卵管の内側しか確認することができないからです。
クラミジアや腹膜炎による癒着では、卵管の周辺に炎症が起きていることが多く、卵管は通っていても卵管自体が機能していない可能性があります。
それは腹腔鏡でなければ確認できません。
腹腔鏡を入れた時の所見によりますが、癒 着が改善できる状態であれば、癒着部分をはがす手術をして卵管をきれいにします。
それだけで妊娠率が上がる可能性はあります。
一方、卵管の周辺に強い癒着や卵管水腫の重度のものがあると、卵管が修復できないケースがあります。
その場合、卵管を切除することもあります。
片方の卵管があれば妊娠は可能です。ただ卵管采の癒着では、両方とも機能していない可能性も考えられます。
その場合は体外受精に進むことになります。

低AMHから考えられること

AMHやヒューナーの結果については?
福井先生 ゆりさんのAMHは、やや高めかもしれません。
卵巣年齢のことよりも、AMHが低値だと卵巣機能の低下の可能性、高値だと原始卵胞が活用されにくい体質、または、多嚢胞性卵巣のような排卵しにくい体質などが考えられます。
この方はすでに排卵誘発剤を使用されていますので、排卵しにくい傾向があるのでしょう。
さらに多嚢胞性卵巣の可能性もあります。
腹腔鏡をするのであれば、その時に卵巣の状態も確認できますから、一緒に見てもらうといいかもしれません。
もし多嚢胞性卵巣であれば、ドリリングという、卵巣に穴を開ける治療を同時に行うこともできます。
そうすることで、誘発剤を使わずに排卵できるようになるかもしれません。
ヒューナーテストについては何とも言えま せんが、この結果が本当であれば人工授精という選択肢も視野に入れておかれたほうがよいでしょう。
ただし、人工授精する場合は、卵管の機能が正常であることが前提です。
そのためにも、卵管周辺をきれいにする腹腔鏡手術という外科的な処置が必要です。
手術を迷うお気持ちもわかりますが、この まま放っておくと卵管の癒着が悪化する可能性もあります。
当院では、ゆりさんと同じようなケースの方に腹腔鏡を行っており、患者さんから「受けて良かった」といわれることがあります。
腹腔鏡手術がうまくいった場合は、半年~1年の間に自然あるいは人工授精で妊娠できる可能性もあると考えられます。
ゆりさんはまだ若くて、手術をしても改善する時間が残っていますから、ぜひ前向きに考えてはいかがでしょう。
※ヒューナーテスト:性交後、子宮頸管粘液を採取して、精子と頸管粘液の相性を調べる検査。採取した粘液中の運動精子数など、精子の状態を顕微鏡で調べる。
※クラミジア感染症:微生物であるク ラミジアが原因となり、尿道、子宮頸管や卵管内に炎症を起こす性行為感染症。近年増加傾向にある。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。